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ハーレム軍団とは もちろん、王子の周りを女性キャラで囲むこと!男の夢の具現である。 ただし、王子にはシーダ様がいるので、他の女は変な誘惑をしてはいけない。 また、見た目が女性っぽい人、あとは便利屋の盗賊は例外で参戦可ということにした。戦力が偏るので… 第1部 参加メンバー クラス キャラ ロード マルス Pナイト/Dナイト シーダ、ミネルバ、カチュア、パオラ、エスト まどうし/司祭 レナ、マリア、リンダ、エリス マムクート チキ 盗賊 ジュリアン コマンド チェイニー 以上、なんと13名。ジュリアンは仕方ないとして、チェイニーってどういうことだ…と思われるだろうが、勘弁してくれ。 まず第一に、戦力が足りない。最終章は15人出撃できるんだ… そして、戦力が偏っている。Sナイト系はいないし、弓は誰も使えない。 そんなわけで、見た目で性別がわかりづらいのでチェイニーも入れてください。強いから。 第2部 参加メンバー クラス キャラ ロード マルス Sナイト/パラディン セシル Pナイト/Dナイト カチュア、パオラ、シーダ、ミネルバ、エスト まどうし/司祭 マリーシア、リンダ、ユミナ マムクート チキ Aナイト/ジェネラル シーマ 踊り子 フィーナ 盗賊 ジュリアン コマンド チェイニー 今度は15人ぴったり。いや、やっぱりチェイニーがいる。 まぁ、変身もできるのでご愛敬… 使えるクラスは増えたものの、相変わらず弓は誰も使えないのね… 基本ルール 参加メンバーに入っていない男性は、戦闘に参加しない。壁役にも使わない。 そもそも2章以降は対象キャラ以外を全く出撃させないので、第1部はかなり大変。序盤はマルスとシーダしか戦力にならない。 あと、ジュリアンは鍵開け要員なので戦闘はなしということで。 まとめ(?) 女性の強さが実感できる企画。 全員生存はそこまで難しくないので、第1部・第2部の完全制覇を目指そう。
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ハーレムゲーム_IDリスト(暫定) 説明 ハーレムのあるゲームです。 参考URL http //haremeroge.blog58.fc2.com/ ゲームリスト ID ゲーム名 ヒロイン名 RSS feedreader プラグインエラー 正常に取得できませんでした。
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ハーレム?10 うpろだ1303 「唐突だけど○○、一つ聞いていいか?」 「本当に唐突だな」 「気にするな。それで聞くが、胸は大きい方と小さい方どっちが好みだ?」 「………また随分な質問だな。何で急にそんな事聞いてくるんだよ?」 「実は今日、仕事の仲間内で貧乳派と巨乳派による論争が起きたんだ」 (………何でそんな論争が起こるんだろう?) 「そして数時間の間激しい意見のぶつかり合いとなったんだが、結局平行線のままでな」 (数時間………力を注ぐべき部分を明らかに誤ってる) 「そこで日頃から多種多様な美女美少女に接しているお前の意見を聞こうと思った訳だ」 「いや、それは個人の趣味趣向の話だから僕の意見も何もないと思うんだけど……」 「とにかく答えろ! お前が答えないと話が進まないんだ」 「強引な奴………解ったよ。でもあくまでも個人的な意見だからね? 僕は…」 友人とそんな会話をした翌日、僕は霊夢さん達に誘われて博麗神社での宴会にやって来ていた。 (何でだろ、いつもの宴会の雰囲気と違う気がするぞ?) いつものように和気藹々とした楽しい宴会。 だけど、その中に僅かながら異質な空気があった。 ピリピリしているというか何と言うか、何処となく張り詰めている気がする。 中でも特に咲夜さんや萃香、映姫様などからそれを感じる。 「○○~♪」 「おわっ……幽々子さん?」 いきなり横から衝撃を受け、持っていたコップを落としそうになる。 すぐに体勢を立て直して横を向くと、幽々子さんが僕の腕に張り付いていた。 密着と言っても差し支えないくらいにベッタリと。 「○○、楽しんでる?」 「も、もちろんですよ?」 「そう? その割には何か動揺してない?」 「そ、そんな事ないですよ?!」 そんな事ない訳がなかった。 ハッキリ言って幽々子さんはスタイル抜群だ。 もちろん素肌を見た事はないが服の上からでも十分に見て取れる。 そんな幽々子さんにこの位置で密着されれば、必然的に僕の腕が幽々子さんの豊満な胸に挟まれて…… 「うふふっ♪ 嘘はいけないわよ、○○」 「ゆ、紫さん?!」 幽々子さんに色々な意味で全神経を使っていた僕だが、 突如として反対側からに新たな感触が伝わってきた。 それは幽々子さんに負けず劣らず抜群のスタイルを誇る紫さんの仕業だった。 「べ、別に僕は嘘なんかついてないですよ?」 ごめんなさい、嘘ついてます。 ただでさえ幽々子さん一人で限界だったのにこの上紫さんまでなんて。 普段からこういったスキンシップ?の多い二人だが、ここまで過激なのは初めてだった。 あっ、紫さん耳に息吹きかけないで……ゆ、幽々子さん身体を揺すらないで…… 気持ちいいやら柔らかいやら温かいやらでもう何が何だか…… 「あらあら、○○ったら顔が真っ赤になってるわね。具合でも悪いのかしら?」 「○○、無理をしてはいけないぞ」 「え、永琳さん?! 慧音さん?!」 意識と一緒に何か大事な物まで飛びそうになっている僕だったが、そこへさらなる追い討ちが下された。 僕の胸に顔をうずめるようにしてしがみついてくる慧音さん。 そして僕の首に手を回し、思いっきり背中に密着してくる永琳さん。 前後左右から絶え間なく襲い掛かってくる圧倒的なそれら。 もはやこれ以上まともに言葉を話せるような状態ではない。 「み、みみみ皆さん揃って一体どどどどういうつもりなんですか?!」 それでも最後の理性でもってこれだけ口にする。 まともに喋れていないが口に出せただけでも褒めてもらいたい。 いや、そもそも褒めてもらうとかそういう事じゃなくて。 自分でも何を考えてるのかよく解らなくなってきた。 「決まってるじゃない。○○の喜ぶ事をしてあげてるのよ」 限界ギリギリの僕の言葉に紫さんが笑いながら答え、 何処からともなく一枚の紙を取り出して見せてくれた。 『衝撃! 外界人○○さんは巨乳好き!?』 そんな見も蓋もない一文で始まっていたのは今日の日付の文々。新聞。 そう、驚いた事に僕が昨日友人と話していた内容が脚色されて記事になっていたのである。 射命丸さん、こんなこと記事にして一体何がしたかったんだ…… 「それで○○、誰の胸が一番かしら?」 「……はっ?!」 射命丸さんのとんでもない暴挙に愕然としたものの、生憎とそれに浸っていられる余裕はなかった。 依然として僕を取り囲む4人は健在で、しかも事態は現在進行形で悪化していたのだから。 「○○は胸の大きな女性が好きなんでしょう」 「なら、○○が一番気に入った胸をしてる者が○○の恋人よね」 「○○、誰の胸が一番なんだ」 「え、そ、それは……あの、え、なんで?」 押し当てられる二対八個の凶悪兵器に思考回路はショート寸前。 もはや僕は紫さん達が何を言っているのかさえ判断できないほどの混乱に陥っていた。 そこへ紫さんからトドメの一撃が繰り出される。 「なんなら、直に触ってもいいわよ?」 「!!!!!!!!!!!!!!」 それが、意識を失う前に聞いた最後の言葉だった。 ○○が気を失った瞬間、取り決めによって我慢に我慢を重ねていた平均以下の連中がついにキレた。 その隙を見計らって私は藍に事態の収拾と足止めを任せスキマを使用。 その場にいた全員を出し抜き、気絶している○○を連れてマヨヒガへと戻ってきた。 うふふ、全て計算どおりだわ。 「………ん、ここは……?」 せっかくなので○○に膝枕をし、滅多に見られない寝顔を至近距離で思う存分眺めていた私。 そうし始めてからどれくらいの時間が経っただろうか。 ようやく○○が目を覚ました。 「やっと起きたのね?」 「………ゆかりさん?」 まだ意識が覚醒しきっていないのか、半分眠っているような目で私を見つめてくる○○。 そんないつもと違うあどけなさ全開の○○に見られているだけでもうお腹いっぱいだわ。 「………………エッ?! 紫さん?!」 そのまま見詰め合っていること約十秒、○○は目を見開いて驚き私の膝から跳ね起きた。 ……反射的に顔を引いて避けてしまったけど、あのままにしていれば合法的に○○とキスできたわね。 勿体ない事をしたわ。 「へ? ここは…あれ? 僕は博麗神社で宴会を……」 「落ち着きなさい○○。今から説明してあげるわ」 慌てふためく○○を見るのもいいけど、今は説明する事が先決。 私は○○の正面を向いて座り直し今回の経緯についての説明を始めた。 発端となった文々。新聞の記事の事。 それを読んで○○に対するちょっとした悪戯を思いついた事。 悪戯を実行するために宴会を仕組み、○○を招待した事。 悪戯そのものは成功だが、直後に一部の者達が暴れて宴会がメチャクチャになった事。 気絶した○○を私がスキマを使ってここまで連れてきた事。 多少都合の良いように誇張や脚色を織り交ぜたが、概ね真実を伝える。 「………酷いですよ。みんなで僕をからかって遊ぶなんて」 話を聞き終えた○○は非難するような視線を向けてそう言ってくる。 でも、○○の態度は怒っているというよりは拗ねている感じ。 そんな○○がたまらなく可愛いから、私はついつい悪ノリしてしまうのだ。 ううん、ノリなんかじゃないわね。 「○○、一つ勘違いしてるわ」 「えっ………ちょっ?!」 私はしなだれかかるようにして○○に抱きついた。 そして○○の瞳をまっすぐに見つめながら言葉を紡ぐ。 「私はね、悪ふざけだけで好きでもない男に抱きついたりはしないわ」 全ては貴方が貴方だから。 貴方と出会うまでは考えもしなかったこんなの行動。 貴方だからこそ、この大妖怪たる八雲 紫がこうやって無防備に身を委ねたりするのよ。 「ゆかりさん、それって……」 だからこそ、貴方は誰にも渡さない。 貴方と一緒にいる時に感じるこの心地よさ、温かさは私だけのもの。 ずっと傍にいてもらうってこの私が決めたんだから。 「愛してるわ、○○」 うpろだ1316 ジョイン ジョイン トキィ テーレッテー ・序、終 ~引き続き何事も無かったかのように本編~ 人里のワーハクタクこと慧音の弟子であるあいつは、何をどう すればそうなるのかさっぱりだが人妖問わず大人気らしい。 私に言わせりゃ霊夢も真っ青なくらいのマイペース、ある意味 この美しくも残酷な幻想郷で生きてられることが一つの奇跡だ。 しかし私までもがあいつの独特な雰囲気に惹かれているのもまた 事実。ライバルは多いというか多すぎだ。恋は先手必勝、あいつに なら私の初めてをうふ、うふ、うふふふふ… はっ!?い、いかん、一瞬先祖がえりしかけた… さっき慧音から聞いたがあいつは今博麗神社にいるとのことだ、 アウェー戦か、受けてたつぜ霊夢! 「れーいむー!遊びにきた…ぜぇぇっ!?」 ズザザザザー 私は勢いよくヘッドダイビングする羽目になった。何故なら… 「お、お前ら!」 「やぁ魔理沙」 「あらいらっしゃい。素敵な賽銭箱はそこよ」 「こんにちは魔理沙さん」 奴の右腕を霊夢が、左腕を早苗ががっちりホ-ルドしていた… 「…お前に一つどころか二つ三つほど聞きたいことがあるんだが」 「何だい魔理沙?」 そう応える奴の顔は憎らしいほど爽やかだ。悪意も煩悩も一切 無縁だと言わんがばかりに。ちょっとは恥らえよ。 「お前の右にいるのは霊夢だよな」 「そうだね」 「見ての通りじゃない」 「お前の左にいるのは?」 「早苗だね。守屋神社の早苗」 「私です」 単純に考えたら男どもが号泣して羨ましがりそうな光景が私の 目の前で展開されている。 私が言うのも何だが霊夢は単純に可愛いタイプで、早苗は綺麗 と可愛いが半々で同居したタイプだ。 そんな二人を侍らせているようにも見える光景は同性の男から してみれば血涙ものの羨ましい光景、異性の私からは別の意味で 羨ましい。くそッ、先手を取られるなんて… 「今の自分の姿に疑問は無いのか?」 「別に…って、僕、何か可笑しな格好してるかな」 「至って普通ね。魔理沙じゃないけど」 「身嗜みも整ってますね」 「いや、だからな…」 これ以上禅問答のようなやり取りを続けても無意味だ。どこぞの 誰かも言っていた『欲しければ奪い取れ!』を今こそ実行する時。 そのガラ空きな膝枕は貰ったァァァァァァ!! 「邪魔するぜー!」 「あら、お客さまですか?」 「何なのよ、騒々しいわね」 げぇっ、咲夜とレミリア!そんなところにいたのかよ!背中か、 盲点だった…!結構美味しいポジション…って、そうじゃない! こいつらまで狙ってるのか!? 「咲夜たち、寄りかかれる場所が欲しいって言うからね…」 「お恥ずかしいですわ。ところで魔理沙、騒がしいけどどうしたの?」 「魔理沙、私は今気分が最高に良いの。邪魔せず立ち去りなさいな」 そんな私のことなど気にせず、至ってマイペースで語るあたりが 実に憎たらしいぜ…いっそこのまま真っ白に燃え尽きてしまうか… ! いあいあ、じゃない、いやいや! ここで諦めたら何のための恋色魔法使いだ! それにまだ膝枕のスペースはガラ空きのまま! 貰ったァァァァァ!! ごっすん♪ 「んなぁ!?」 突然私の後頭部に間抜けな効果音つきで鈍い一撃が襲い掛かった。 い、痛いぜ…しかしこんな音を出せるような攻撃方法を持っている 奴は幻想郷狭しといえど… 「何してるの魔理沙。ちょうどいい膝枕見つけたんだから、大人しく してなさい」 「私たちの素敵な時間を邪魔しないの」 やっぱりアリスか!しかもパチュリーまでいるなんて。こいつら まで…やはりライバルは多すぎ、しかも何でこんな一箇所に密集して いるんだ!? おまけに狙うべき膝枕はものの見事に二人で塞がれ、残ったのは あの一箇所、タイトなあの部分!これはかなり恥ずかしいぜ…だが、 ここまで来たら形振り構っていられるか! 立て私!最後の力を振り絞って、最後の一箇所にダイブだ! ススス… ん?どこかで見たような…って、これは紫のスキマか!ええい 構うものか、行くぜ! ひょこっ ぽふっ 「お腹は私ー」 「すわっ!?」 「おおっと、諏訪子さん?」 ひょこっ ぽふっ 「むー。駄目です祟り神さま!私もここはお気に入りなんです!」 「あっきゅんっ!?」 「わっ、阿求さんも来ちゃったの?」 な、何で関連性の無い奴らがここにいるんだよー!?しかも残る 一箇所にすっぽり収まったし! 「頭は私の枕よ。スキマから上半身出してるだけだから、邪魔には ならないわ。おやすみ~」 「ゆあきんっ!?」 -私、霧雨魔理沙は-二度と争奪戦へは参加できなかった…。 そして何か言うべきなんだろうと思っても何も思いつかなかったため、 ―そのうち私は考えるのをやめた。 (むぅ、やるわね諏訪子、阿求…そこはガマンしてたのに)ぎゅっ (負けませんよ、霊夢さん!いい所取られちゃいましたが)ぎゅう (やるじゃないの二人とも。でも背中ゆえの長所もあるわよ)きゅっ (咲夜、私にも寄越しなさい。独り占めするんじゃないの)きゅ (膝枕はアピールが楽でいいわ。暖かくて安心できるし)さわさわ (ええと、こういう時の彼に対するアピールの仕方は…)すりすり (ふわぁ、温かいなぁ)ふかふか (何だか落ち着くんですよね)ふわふわ (す~) 「どうしたのかなぁ、今日はみんな甘えん坊さんだね…」 「気のせいよ」 「気のせいです」 「何時も通りですわ」 「何時も通りね」 「何も変わらないわよ」 「変わらないわね」 「ん~♪気のせい気のせい」 「うにゃー♪そうですそうです」 「す~…」 今日も至って幻想郷は平和である…多分。
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814 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 10 53 23.45 ID ??? この間ハーレムものがやりてーからお前GMで用意しろって先輩に言われたんでヤンデレとか俺女とか地雷女ばかりで固めたハーレムを作ってやったらキレられた。 その後正しいハーレムを教えてやるとか言って無理矢理先輩がGMのキャンペーンに組み込まれたんだけれど、 キャンペーンの内容が出てくる女すべてに惚れられる俺様超最強な超絶美形NPCが活躍する吟遊シナリオだった。 もうやだこの先輩 817 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 11 02 12.34 ID ??? 814 「俺たちはてめえのNPCじゃないんだよ!」でOK 818 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 11 08 07.72 ID ??? 814 お前も大概っぽいが、そこで吟遊に逝っちゃうのは先輩もダメなパターンだなw 819 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 11 11 37.59 ID ??? 814 山岡「一週間待って下さい。俺が本当のハーレムを見せてやりますよ」 スレ281
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ハーレム?2 519 ○○と文と萃香、それは幻想郷の誰もが公認するバカップル。 しかし……そんなバカップルな三人に……悲劇が訪れる…… ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- -幻想郷 博麗神社 境内- 「そんなのってありえないよ……絶対にありえない!」 「嘘です……嘘って言ってください!」 涙ながらに叫ぶ二人。しかし霊夢は冷たく言い放った。 「嘘なんて言わない。○○さんは私が強制的に人間界に帰したわ」 「納得いきません!どうして○○さんが人間界に帰らないといけないんですか!?」 「そうだよ!○○は何も悪いことなんかしてないのに!」 憤慨して抗議する二人。その中で霊夢は静かに言った。 「ねぇ、二人とも聴いてくれる?確かに私だって貴方達みたいなお似合いのカップルを引き裂くなんてことしたくないの。でも……」 「でも……なんなんですか?」 「最近分かったの。○○さんはこの幻想郷においてイレギュラーだったのよ」 「イレギュラー?」 「そこに存在してはいけない人の事。実際彼の周りには色々なことが起きている。先日のパラレルワールドの件もその一つよ。 多分彼はこの幻想郷から拒絶されていると思う」 「拒絶って……!そんなバカなことが!」 「あるの。ちょっと前に彼を呼び出して実験してみたの」 「実験?」 「ええ、博麗大結界に攻撃してもらったんだけど……屈強の人間や妖怪でも絶対破れない筈の結界がいとも簡単に破れた」 「……」 「修復が大変だったわ…これは私の推測なんだけど、多分彼は幻想郷に存在する物なら全て壊す事ができる。例えそれが時空であろうと」 「そんな……」 「彼は"僕はそんなことはしない!"と言っていたけど…やはりあまりにも危険すぎるの。彼は人間、いつ手のひらを返すか分からないわ。だから……」 「だから強制的に人間界に送ったんですか……?」 「ええ、そうよ。これに関しては紫も同意見だったみたい。彼の言うことなんか聞きもせずにあっという間にスキマに落としたわ。スキマは人間界と繋がっているのよ」 「……ちょっと待ってよ……」 霊夢を睨み付けながら萃香が言った。 「じゃあ何?○○はこの幻想郷を壊す危険があるって言うだけでこの幻想郷から追い出されたの!?」 「ええ、厳密的に言えばそうなるわね」 「でも○○はそんな事しないって言ってたんでしょ!なのに何で!?」 「だから言ったじゃない。彼は人間なのよ。人間は力を持ったとき、その力を誇示したいもの。彼とて例外じゃないわ」 「それは一般的な人間の考え方でしょ!○○と毎日のように付き合ってた私が保障する!彼は私と同じで嘘なんかつけない!」 「そうですよ!彼は何だかんだ言って私たちと交わした約束は破ったことが無いんです!それが無理やりであっても彼は約束を反故にしませんよ!」 「……もう、遅いのよ。○○さんは人間界に旅立ってしまった。その事実に代わりは無い……」 「そんな……そんなの…非道いですっ!もう私は二度とあなたには会う事はありません!」 「……霊夢とはもう一生口をきかないよ。今回の事で私は失望した。もうアンタとは付き合うことは無い」 二人はそれぞれの啖呵をきると帰っていった。 後に残された霊夢は…… 「…私だって、好きでこんな事は…」 涙ながらにそう呟き、寝室に向かった。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- -人間界 某アパート- 「……朝か…」 その国に住んでいる人なら知らない人はいない。そんな地区の外れに位置するボロアパート。○○はそこにいた。 「う……昨晩飲みすぎたか……気持ち悪りぃ……頭が割れそうだ……」 その部屋には一介のサラリーマンなら何本でも買える様な安い酒の缶が大量に転がっていた。 「へっ……酒が不味いからかな……なんだか本当に吐きそう……」 数分後、○○はトイレに駆け込んだ。 「うぷっ……クソ……萃香の酒なら…飲みすぎても吐くような事は無かったのに……クソッ!!…なんで……なんでなんだよ!畜生!!」 ぐちゃ、という音を立て握り拳で缶を潰す○○。 「萃香…文…もう一度逢いたいよ……逢って君達と飲み交わしたいよ…うう……」 小さなアパートの一角、そこは○○の嗚咽がずっと響いていた…… ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 前編終了です。 酒豪コンビのSSは、イチャついてるだけというのが多かったので、今回は路線を180度がらりと変えてシリアスなストーリーにしてみました。 はてさて、○○は幻想郷に戻れるのか?物語は後編に続きます。 (初出不明) たまには文&萃香以外をば 「ゴホッゴホッ…すごいなこりゃ…」 「大事に扱ってくれよ、私が記してきた大事な歴史なんだから」 「ゲホッ…慧音、だったら普段から綺麗にしておいてよ」 「む…すまん…」 今日は年末ということで大掃除をやることになり、妹紅と慧音の家の整理&掃除をしているのだ。 「次は…物置の整理だな(ガサガサ)」 「ああ、物置の上段のタライは落ちそうだから気をt(カァーンッ)「いってぇぇぇぇぇぇ!」…遅かったか…」 「ちょっと待て慧音、何でこんなところにタライを置いておくんだ?」 「…おお○○、たんこぶができてるぞ」 「…流すなよ…」 「多分あれだ、作者のご都合主義だ」 「…そういう裏の話は禁止・・・」 ・・・・・・・・・・・・・ 「ふぅ、次は表を箒で掃くか」 さっさっさっさっさっさっさっと 「こういうときのお約束の台詞って何だっけ?確か…"お~でか~けで~すか?レレレ~のレ~"」 「(硬直)…○○?」 「うおっ!?…な、何だ、妹紅?」 「…○○壊れた?」 「いや俺は普通だぞっ!ってか待てこら妹紅!その可哀想な物を見る目をやめろ!」 ・・・・・・・・・・・・・・ 「次は…布団でも叩くか…」 バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン バンバンバン、バンバンバン、バンバンバンバンバンバンバン 「"引っ越ーしー!引っ越ーしー!さっさと引っ越ーしー!しばくぞ!"ってハッ!?いかん、また何らかの電波が…」 「(側で見てた)…○○、熱でもあるのか?(額に手やり)」 「いや、俺は正常だぞっ!いや慧音、待てって!どこに連れて行く!」 「魔理沙の家。あいつは多分ウィッチ・ドクターだ。」 「いやだから俺は正常だっつーの!ヤメレ!病気でもないのにあそこに行くと実験体にされかねん!」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 「…ようやく終わったか…」 「すまなかったな、妹紅、○○、おかげで助かった」 「ううん、何時でも言ってよ。すぐに手伝いに行くから」 「そうそう、慧音には結構お世話になってるんだから」 「そ、そうか…ではまたお願いするかもしれん、そのときは頼んだぞ」 「「OK♪」」 「さて、俺の時間間隔が正しければ…そろそろ月が昇り始めるな」 「あれ?ちょっと待って。今日って確か…満月じゃあ…」 「え゛っ?じゃあ…(恐る恐る慧音のほうを見る)」 「……」 「け、慧音?」 「フゥゥゥゥゥ、ハァァァァァ…」 「「!!!!!!」」 「…ふっふっふっふっ…今日は運がいい…早くも二人もありつける…」 「「に、逃げろぉーッ(W脱兎)」」 「逃がさないよ…転世『一条戻り橋』!」 「うわっ、後ろから弾幕が!」 「くっ、引き返さないと!」 「…くっくっくっ…戻ってきたね…(がしっがしっ)」 「「あ゛っ…(捕まえられ)あ…あぁ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」 caved!!!! アトガき(ぇ ども、来年を平成17年だと勘違いしていた30人目ですw 今回はけねもこで書いてみました。 …もしかしたら文&萃香と並行してシリーズ化するかもしれませんw ---門松の裏--- 最後のシーンで慧音が二人を戻すために一条戻り橋を使ってますが… http //wray.hp.infoseek.co.jp/touhounote/picture/th_0592.jpg ↑元ネタです… …もしかしたら「come on!」って言ってるのは俺かm(caved!!! ---ここまで門松の裏--- 避難所 2 そしてついでにひとつ投下。 …これで自分が元々誰だったか分かってしまうかも… 「○○さ~ん、萃香さ~ん、いいお酒が手に入りました。宴会しましょう!」 「お!待ってました~♪」 -ほぅ、どんなお酒?- 「東洋の南のほうで作られた焼酎だそうですよ。確か銘柄が…青森でしたっけ?」 -……それは東洋の地方の名前だろう……しかもかなり北のほうの……- 「えーと……まぁ、いいですよね!お酒は美味しければそれで良いんです!」 「あ~、文、ごまかしたな~……まぁ、いいか」 談笑しながら○○宅へ移動 -まずは一献……ってこれはなかなかキツいな……- 「そうですかね?私はものすごく美味しく感じましたけど」 「私も~、こんなの序の口だよ」 -まぁ、二人とも酒には強いからね……- 一刻経過…… -うぅぅ……限界が近いんだが……- 「えーっ!!まだ一刻しか経ってませんよ!!」 「○○しばらく飲まないうちに酒に弱くなっちゃった!?」 -そうかなぁ……うっ、こりゃ駄目だわ……スマンが先に寝かせてもらうぞ……- 「分かりましたゆっくり休んでくださいね」 「お休み~」 ○○、自室にて就寝 「「……フ、フフフフフフ……大成功♪」」 「○○さんが飲んでいたお酒の中にスピリタスをちょっとづつ混ぜていく作戦……成功ですね♪」 「さてと、早速○○の部屋に行くとしようか!」 【この後どうなる?】 1.○○は実は寝ているフリをしていて…… 2.二人の陰謀に物の見事に嵌り、めくるめく…(以下省略 3.ここで、映姫様登場! 4.Free Space(ぇ ……久しぶりに書いて見ましたが…全盛期の感覚が取り戻せない…… 避難所 33 さて、公約通り3で書きましょうか。 しかしそのとき! 「お待ちなさい!!」 「「だ、誰だ(です)!?」」 「あなた方の悪行は○○さんは騙せても私は騙せないですよ!!」 「げぇっ!!映姫!!」 「まずいですね…ここは一時撤退して…」 「あなた方まさか逃げれると思ってるんですか?」 ,.へ __ / 山 \___,.へ _______∠< ̄ i |. ☆ i|  ̄`y---ァ _,.'⌒ヽ_ \ `ヽ、__i |. 田 |ト、___,.へ___〈 ( ) __〉-'⌒ヽ--' ̄ヽ、__/ ̄ヽ!、____,.ヘ/___/! ゝ---''´ r'-く二ヽ、_/ ̄〉、_,.ヘ__,.へ___,.、 へ〉 ノ i γ⌒く ノソ</ /! ハ ゝ--'、 L | | | ハ ,.イ \ V レ' ,!ハ リヽ、」 | | | ! Y .!o ´ ̄` <_ i レ i ハ ノ ノ ! "" ,.---、 ,,! / // Σ二 へイ / \ // /\ ,.-─、 iヽ、 ! ら \ i ̄ /i [ ̄ ̄ ̄]-、 ヽ 7二\ す \ レ' /{ ̄ ̄ ̄}ヽ ! /i/ \ と \ヽ、 | | [] | | ! ヘ \ じ \ i \ {___し' ガ o \ ゃ \ガ .)[___] /_ ン 〈〉 | \ っ \ン「⌒Y ̄⌒Y ̄i/ へ へ 〉 ' \ じ \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ め \ ゴ オ ォ ォ …… ! !".;" \ ん \;" ..;.;".;" ;" .;".;" _.;.;_".;" \ と \ド カ ァ ン ! .;".;" ..;.;".; ζ /_.;_/| .;".;", \ \.;".;.;".;" . .;".;" ..;.;".;" ; '.;| ΓΓ | |;" 从へ_/| \ \".;__.. 从へ从へへ从 ; ζ | Γ从 | |; .. |从Γ | | \ ,.;∠___/| ( ⌒( ⌒ ) ζ | 从Γ | |. ;. |从Γζ.;".\.;. |ΓΓΓ| | | 「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!(ピチューン)」」 「……ふぅ……そう、あなた方は少し独占欲が強すぎる。あなた方が成すべき善行は○○さんにあわない日を作ることです」 -○○の部屋- 「うー……やっぱり飲みすぎたのかな……」 -ここで鈴仙が窓から登場- 「お邪魔します……って○○さんどうしたんですか!?」 【ここで再びQuestion この後どうなる?】 ①鈴仙が○○を永遠亭に連れて行き…… ②映姫様が○○を献身的に世話しつつ…… ③二人が復活して○○に…… 4スレ目 757 ※美鈴1より。 気がつくと、見覚えのある天井だった 最初に見た時の、倒れていた僕を寝かせてくれた美鈴さんの部屋 「・・・・・あ! 」 慌てて起き上がると、僕にかけられていた毛布が落ちる 少し肌寒いと思ったら、服を着てなかった 探してみると枕元に綺麗に畳まれた僕の服と巫女服が置いてある 巫女服を見て、思い出した 凄く綺麗だった美鈴さんと、恥ずかしくてよく分からないうちに終わって寝てしまった事 思い出すと顔が熱くなる、美鈴さんに巫女プレイの意味を教えてもらったのだ 美鈴さんは門番の仕事に出かけたのか、部屋には居ない それを寂しいと思いながら、巫女服じゃなくて元の服に着替える そういえば、巫女さんに巫女服を洗って返さなきゃいけない 「起きたのね」 「っ!? 」 突然声をかけられて驚いた、後ろを振り向けばメイド長の人が立っている 確かさくやさん、だと思うけど仮面のような無表情で見下ろすように僕を見ていた 雰囲気も少しおかしい気がする、僕は何かしたんだろうか 「お嬢様がお呼びだから、一緒に来てもらうわよ」 そう言ってメイド長の人が僕の手を掴んだんだと思う 僕は気がついたら知らない部屋に居て、メイド長の人は居なかった でも目の前に、知らない子がいる 綺麗な紅い眼と背中から生えてる蝙蝠の羽、美鈴さんが言ってた『怒ると危ないお嬢様』だと思うけど 「ふむ、悪くない」 「え? 」 怒ると危ないお嬢様は僕を見た後に、頷いて指をパッチンと鳴らした すると僕は、何故かまた巫女服を着て椅子に座っていた なんだろう、これは夢? 怒ると危ないお嬢様の後ろで、メイド長の人が僕を見ながら鼻血をポタポタと垂らしているけど大丈夫なんだろうか? 怒ると危ないお嬢様の眼が紅く光ってるけど、もしかして怒ってる? 「咲夜」 「抜かりは御座いません」 服が急に重くなったと思ったら、僕はメイドさん達が着てる服を着ていた 呆然としていた僕だけど、スカートが恥ずかしくて服を返して貰おうと前を向いたら天井が見えた でも美鈴さんの部屋の天井じゃない 眼を瞑って、もう一度空けたら美鈴さんの部屋に戻ってるかな? ギシリと言う何かが軋む音と、少し沈んだ体 さっきから驚きっぱなしの僕だけど、また驚いて眼を開けると、怒ると怖いお嬢様とメイド長の人がいて 僕が着てるメイド (隙間による検閲が入りました。見るには『こーりんこーりん』の詠唱が必要です 4スレ目 961 ルナサさんがものすっごい頑張ってくれました。2R三分間粘り。 ttp //upload.touhou-storm.com/file/th9_ud3341.rpy そんな訳で、ゼーゼー言いなが寝ころがっているルナサ。 「お疲れ様」と言いながら冷たいポカリスエットを頬っぺたにつけてあげる俺。 「ひゃ……!」と、可愛い声でビックリしてくれるルナサ。 「あっはっは、冷たくて気持ち良いっしょ?」とニヤニヤしてる俺。 「ん……まぁ……ありがと……」と言いながら蓋を開けて飲むルナサ。 くぴくぴと飲んでる様子をジッと見ている俺。 俺の視線に気付いてちょっと顔を伏せるルナサ。 それを押入れから凄い形相で見守っている映姫様。 「二人とも青春してるわねぇ」とか平静を装いながらうっかり野菜と一緒に自分の指を切りかけるえーりん。 アホ毛を俺に弄繰り回され、俺のベットで不貞寝しているツインテールになったちんき様。 ザ・ハーレム。もしくはザ・修羅場。 5スレ目 583-584 神綺様にあるセリフを言わせてみたかっただけなんです。 ごめんなさい。 ====== 「霖之助さん、あれ、止めなくていいんですか?」 俺は、青磁の香炉を整理しながら尋ねる。 視線の先には、口論をしている輝夜さん、幽々子さん、紫さん、神綺さん、レミリアさん。 「ああ。大丈夫だ。 大体、付き添いの彼女たちだって、ほとんど止めようとしていないだろう?」 古道具屋「香霖堂」。 魔法の森の外れにある、古びた、でもちょっと小粋な木造建築。 幻想郷に迷い込んで以来、俺はずっとここでバイトしている。 店主の霖之助さんもよくしてくれるし、外の世界の道具の使用法が聞けるから助かるとも言ってくれた。 そんなわけで、ここ一月、俺はここで働いている。 霖之助さん曰く、俺が来てからお客が増えたそうだ。 一人目は鈴仙さん。永遠亭に住まう月の兎らしい。 二人目は妖夢さん。冥界に住む半分幽霊だそうな。 三人目は藍さん。どこに生息しているのかは知らないが、狐だそうだ。 四人目はアリスさん。魔法の森に住まう魔法使いさん。 この辺が新たな顧客として開拓されたらしい。 そして、前からたまに来ていた咲夜さんの頻度も上がっているとのこと。 今日の発端は、その5人がそれぞれ自分の主人なり親なりを連れてきたことから始まる。 最初は談笑していたのだが、その主人&親が自分の従者や子供を自慢し始めたのだ。 それに対して、 ・ おろおろしている人(鈴仙、妖夢) ・ 落ち着いて横に控えている人(藍、咲夜) ・ 積極的に止めようとしている人(アリス) の3つに分かれている。 「それにしても、全員がたまたま人を連れてくるなんて偶然、あるんですね」 口論を聞き流しなら、霖之助さんに話しかける。 霖之助さんは、会計用のテーブルで伝票整理をしている。 俺はちょうど、青磁の整理が終わったところだ。 「事実は小説より奇なり、と言うだろう? 驚くことでもないさ。 次は、そっちのマイセンを少し奥にずらしてくれないか。 S○NYコーナーを作っておきたいんだ。 ああ、そのエクスカリパーは下に置いちゃっていいから」 「わかりました。 バイロンの言葉でしたっけ、それ。 博学ですね」 「はっはっは、君よりは長く生きているからね」 俺は一番右端の棚で作業を始めた。 その間にも、口論は続いていく。 「うちの咲夜なんて、一瞬でお掃除のできる、瀟洒な従者なんだから!」 「うちの藍は、式神なのに式を扱えるのよ」 「イナバなんて、狂気を操れるのよ! すっごく強いんだから!」 「あら、妖夢だって剣術ができるのよ。そこの兎さんよりは強いわ」 「ア、アリスちゃんなんて、可愛いんだから!」 やれやれ。 俺が、S○NYコーナーを作り終わっても、まだ口論は続いている。 「霖之助さん、本当にいいんですか?」 「ん、ああ、あれか。大丈夫だよ。 そのうち不毛なことに気がつくさ」 「でも、終わる気配がありませんけど……」 「よく聞いていてごらん。 段々不利になってきている人がいるから。 1人ずつリタイアしていって、最後には収まるさ」 そう言われて、耳を澄ませてみる。 なるほど、確かに押されている人がいるな。 これは、アリスさんの親だと言う、神綺さんか? そこに、紫さんが畳み掛ける。 「ほらほら、もう終わり? 子供のこと、理解してないんじゃない? それとも、うちの藍のほうが優秀なのかしら」 「ぐぐぐ――」 「ほら、ママ、だから言ったのに……」 「うちの――、 うちのアリスちゃんなんて――、 床上手なんだから!!!」 ――。 静寂がほとばしった。 と……、 次の瞬間。 「何よ、うちのイナバなんて、ウサ耳よ、ウサ耳。 多少の床上手なんて目じゃないんだから!」 「うちの藍は、今まで何人もの男を手玉に取った手練れよ。 アリスより床上手だと思うわ」 「妖夢は、剣を放すと凄く可愛いのよ。それに、 妖夢のあの控えめな胸の良さがわからないのは、男じゃないわ」 「咲夜はずっとあなたたちより若い、青い果実なのよ。 あなたたちなんかに、負けるはずが無いわ!」 「●●●――!」 「△△△――!」 「×××――!」 それを横目で眺めている、霖之助さんと俺。 「なんだか、凄いことになってますね」 「これは予想外だったな。 でも、まだ閉店までは時間があるから、大丈夫だろう。 ふむ、そうだな。そこのケースの中のAK-47アサルトライフルでも磨いていてくれ。 クリーニングキットは本体に付属してあるから」 「了解でーす」 それから数十分。 俺の作業も終わりそうな頃。 やっと、口論のほうも収束に向かおうとしていた。 「はぁ、はぁ、はぁ。 考えてみたら、床の上手さなんて、話し合いでわかるはず無いのよね……」 「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。 今さら気づいたの? ダメね紫ったら」 「幽々子だって気づいてなかったでしょ」 「まあ、それはそうだけど」 そこに、レミリアさんが口を挟む。 「なら、男にちゃんと判断してもらえばいいんじゃない」 その言葉に、俺は霖之助さんの方へ視線を向ける。 視線を受けてか、霖之助さんが口を開いた。 「僕は面倒ごとは辞退するよ。 そもそも、褌をつけてない女性は好みじゃないんだ。 それに、彼女たちの視線は君を向いているようだが?」 その言葉を聞いて、振り向いてみると、 5対10個の従者と娘の眼が、俺を射抜いていた。 5人とも頬を朱に染めている。 その横では、先ほどまで口論をしていた5人が、 セコンドよろしく、声をかけているのが見えた。 「イナバ、負けたら許さないからね」 「ご安心ください、姫様。 月の兎の誇りにかけて、この勝負、勝って見せます」 「妖夢、勝つまで帰ってきちゃダメよ」 「私も剣という勝負の世界に生きてますから。大丈夫です。負けません」 「藍、頼むわね」 「お任せください、ご主人様。 三国に美貌を轟かせた私をもってすれば、あのような人間などイチコロです」 「アリス、わかっているわね」 「ええ。三ヶ月後には、結婚の報告を持っていくわ。 楽しみにしててね」 「咲夜」 「はい。わかっています、お嬢様。 お嬢様のメイドたるこの咲夜の辞書には、敗北の2文字はありません」 どうにも、止められそうに無い。 溜息をつく俺に、後ろから霖之助さんが肩を叩く。 「諦めた方が賢明だよ。 幻想郷の女性は強いんだ」 がっくりと肩を落とす俺。 「よろしくお願いします」と、顔を赤くして挨拶してくる従者&娘5人。 彼女らの眼は、闘志でメラメラと燃えていた。 味方はいない。いや、嬉しいのは嬉しいんだけど。 誰を選んでも――。 木造建築の内装が、氷のように冷たく感じた瞬間だった。 俺の明日はどっちだ! 6スレ目 36 「○○、お嬢様がお呼びです」 魔法図書館の入り口で、咲夜さんが呼んでいる。 幻想郷に紛れ込んで。 何の因果か、この紅魔館でお世話になることになった。 と言っても、自分は空を飛べないから、もっぱら本を整理するのが仕事だが。 「あ、はい、今行きます」 最近、3時少し前になると、レミリアは俺を呼ぶ。 昼でもなお薄暗い廊下を少し歩くと、向こうにランプの明かりが見えた。 そこは、ティールーム。 お茶が好きなレミリアが、わざわざ喫茶のために拵えた一部屋。 家具も、食器も、装飾も、豪奢なものが揃っている。 「遅かったわね、さあ、早く」 「ああ、了解」 レミリアを抱き上げると、 そこにあった華麗な彫刻の椅子に座り、膝にレミリアを乗せる。 というのも。 先日、うっかりフランがテーブルと椅子の一式を壊してしまったため、 レミリアの体に合うテーブルがないのだ。 注文しても誂えになるため、結構な時間がかかると言う。 だから。 俺が座って、その上にレミリアやフランが座ることで、 テーブルと椅子の寸法を合わせている。 「あー! お姉さまだけずるいわ!」 「フランもちゃんと抱いてあげるから、 心配するなって」 ドアからフランが入ってきた。 おそらく、お茶の時間ということで部屋から出てきたのだろう。 レミリアを左ひざに乗せかえると、 空いていた右手を使ってフランを抱き上げ、 右ひざに乗せる。 「んー、なかなか居心地いいわ。 ね、お姉さま」 「こっちは少しバランスが悪いわね。 もう少しきつく抱いてくれるかしら」 最初はこの役目は咲夜さんが、という話だったのだが。 レミリア曰く、女性のふとももは柔らかすぎて安定しないらしい。 そこで、唯一の男である俺の出番と相成ったわけだ。 「こうか?」 「そうそう。うん、やっと安定したわ」 と言っても、座るだけで安定するもなく。 右ひざには、フランを乗せて右手で抱きしめ。 左ひざには、レミリアを乗せて左手で抱き寄せる。 少女たちの柔らかい肉体が、俺の手足を刺激する。 「ここ、あったかくて安心するわ」 そう言って、胸に頭をすりつけてくるフラン。 「ええ、本当ね」 抱かれたまま、肩に頭を預けてくるレミリア。 フランからは、濃厚な赤いバラの香り。 青々とした感じのする、しっかりとした強い香気。 レミリアからは、とろけるようなビターアーモンドの匂い。 気がついたときには、すでに毒が回って抜け出せない、魔性の空気。 そんな香気が、2人を抱きしめる俺にふわりと取り巻いてくる。 「おいおい、紅茶が冷めるぞ」 一応、注意する。 そう言っても、聞くような2人ではないが。 「んー、飲む」 そう言って、思い出したようにこくこくと飲みだすフラン。 一方のレミリアは、それを微笑ましく見つめている。 と。 そのとき。 「ねえ、○○はお茶飲まないの?」 フランからの疑問。 「フラン、○○は人間よ。 私たちと同じお茶は飲めないわ」 「えー。一緒に飲みたい!」 「我慢しなさい。彼は人間なんだから」 「じゃあ、私たちと同じになればいいのね!」 そう言って。 俺の首筋に狙いをさだめるフラン。 その頭を、レミリアがぺしっ、と叩く。 フランは相当痛かったらしく、涙目だ。 頭を押さえ、上目遣いにこっちとレミリアを見つつ、 「お姉さま、痛いよう」 と、のたまった。 「勝手にやるんじゃないの。 まずは本人の意志を尊重して。 その上で私たちと永劫の時を過ごす覚悟があるかどうか。 そこまでしてはじめて噛めるのよ。 そんなに簡単に噛もうとしないの」 と、レミリア。 確かに、俺は前にも噛まれそうになって、断ったことがある。 レミリアはそのことを言っているのだろう。 「じゃあ、予約なら構わないわよね。 その意志が固まったときのために」 すると。 フランはそう言って。 俺の左頬についばむように軽くキスをしてくれた。 「フ、フラン!?」 「ふふふ、予約したわ。来るべきときのために」 「なら、私も予約するわ!」 そう言って。 右頬に手を添えて、やさしく俺にキスをするレミリア。 「これであいこよ、フラン」 「そうね。 お姉さまと2人で飲むからね、○○」 何というか……。 そんなに吸血鬼になるのを期待されているんだろうか。 このような感じで、 2人の少女の香気に包まれ、 両手に、少女たちの肉体を感じて、 両足に、少女たちの重みを乗せて、 毎日、このお茶の時間は過ぎていく。 避難所 77 前略お袋様。俺は今この遙か遠き地、幻想郷で生活しております。 宵闇に追いかけられたり、氷精に喧嘩を売られたり、夜雀に屋台の手伝いをさせられたりしながらも割と平穏な毎日を送っております。 ですが、 「春が来ましたよ~~~」 「春……来た…よ」 「二人とも……春が来たことはもうわかったから……」 現在俺は大いなる問題に直面しております。原因は隣にいる二人の妖精です。 白と黒です。チェスです。オセロです。何処ぞの普通の魔法使いは関係ありません。 「頼むから腕から放れてくれないかなーー!」 そう、俺は現在進行形で腕を引っ張られているのです。 と、今は遠き地にいる母に念を送ってもしかたがない。現実を見据えないと。 「ほら、ブラックちゃん! ○○さんが困ってるから手を放してください!」 「ホワイトのほうこそ…放してよ……」 「いや俺は二人とも放してほしいんだが……」 現在俺の左右に存在している二人組。 右を向けばリリーホワイト。怒っていながらも笑顔を崩していないので逆に怖い。 左を向けばリリーブラック。いつも通りの冷めた顔だが、その瞳には常にない炎が灯っているように見える。 普段は仲がいいのに、俺の周りに来るとなぜか喧嘩するんだよな…… 博麗神社の縁側でのんびりと寛いでいたのに、気づいたときにはこの状況だ。 「大体なんでブラックちゃんがここにいるんですか! 聞いてないです!」 「私だって…ホワイトが来るなんて知らなかった……」 それは俺のほうが聞きたい。 折角の暖かな春なので、神社の桜でも見に行こうと思い立ったのが昨日。そして二人に聞かれて神社に行くと答えたのも昨日。 来る気が無いなら初めから聞かないかもしれないが、それにしたってこんなことになるなんて考えていなかった。 そういえば何か失念している気が…… 「ああ、お茶が美味いわ…」 そうだ、この神社の巫女がいたんだ。何も言ってこないからどうしたのかと思った。 「なあ霊夢、助け…」 「めんどい」 「即答かよ」 「だって私には関係ないもの」 ごもっともではあるが、神社の主として何か言うことはないのか。 「そうね…少しうるさいかしら。とりあえず痴話げんかなら庭でやって」 「またそんなことを……」 「迷惑では仕方がないです。ちょっとあっちに行きましょう!」 「そうだね…迷惑かけちゃダメだよね……」 「なんで俺の言うことは聞かないで、霊夢の言うことは聞くかなー!?」 答え、巫女が怖いから。 霊夢の言葉によって庭先に出され、二人の少女の間で身動きが取れなくなっている俺の前に、 「おーい霊夢ー。遊びに来たぜー!」 救世主……ではなく、普通の魔法使いが降り立った。 「よう来てたのか○○。相変わらず両手に華……いや春か」 「魔理沙……そんなこと言ってないで助けてくれ」 「だが断る。どうせ春の間限定なんだ。それぐらいのことはさせてやれよ」 「俺は去年もこんなことされた気がするんだが」 「そりゃ最高じゃないか。毎年春がくるんだぜ。フィーバーだ」 「わけわからん」 役に立たない事ばかり言う魔理沙は、それにだ、と話を続ける。 「好かれてることを自覚しないと罰が当たるぜ。それぐらいわかってるんだろう?」 「そりゃまあね……」 二人が俺を慕ってくれているというのはわかるし、素直に嬉しいとも思う。 だからといってくっつかれすぎても困るし、ましてや喧嘩などしてほしくない。 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、妖精二人は言い合いを続けているし魔理沙に至っては、 「というわけで霊夢、お茶をくれ。出涸らし以外だが」 「まったくしょうがないわね……」 「おーい! ほんとにスルー!?」 見事に人の話を流してくださった。 「当然だろう。私は見てて面白い喧嘩は止めない主義なんだ」 自分本位かお前は。まあ幻想郷の住人はみんなそんな感じだけど。 「そもそもブラックちゃんは暗すぎるんです! ○○さんは私と一緒にいたほうがいいんです!」 「ホワイトは騒がしすぎると思う……。○○は私と一緒のほうが…静かでいいよ…」 つーか君らは何時まで言い争ってるんだ。内容も変な方向にいってるし。 口を出す度胸もないので、開き直って別のことを考えることにする。 「今日の晩飯どうするかな……」 「「○○(さん)!!」」 「うわっ!」 逃避をし始めたところに話を振られるとは思わなかった。というかブラックの大声とは珍しい。 「○○さんは私と一緒のほうがいいですよね!?」 「違うよ…私とだよね……?」 ……これは答えづらい。 どっちか選べばもう片方が拗ねるし、正直に両方とか言ったらまた喧嘩し始めるだろうしな…… 「○○さん……」 「○○……」 二人の視線が今は痛い。 前門の春、後門も春。退路無し。どないせーと。 なかなか答えようとしない俺の態度に業を煮やしたか、 「もうこうなったら…!」 「だね……!」 両者ともに何やら不穏な言葉を口にした。非常に嫌な予感がする。 その予感の通り二人は一気に羽を広げると、某月○蝶の如く力を溜め始めた。 「は~る~で~す~よ~~!」 「春…来た…よ……!」 「いや二人とも、俺が間にいるのに弾幕はシャレに…!」 「「春~~!!」」 ――ちゅどーーんっ! 「あぁぁぁぁぁぁ!」 二人分の弾幕をくらって、俺は見事に春の空を舞った。 「おー、結構高く吹き飛んだな。流石は妖精、後先考えてないぜ」 「ほんとに平和ね……」 巫女と魔法使いは知り合いの吹き飛ぶ姿を見ながら、こんなのどかなことを言っていたそうな。 「おお痛てて…」 「○○さん、大丈夫ですか~?」 「大丈夫…?」 「ああ大事ないよ」 地面に落下する前に二人にキャッチされた俺は、神社の縁側で手当を受けていた。 派手に吹っ飛んだ割には打ち身程度で済んでよかった。素晴らしきギャグ体質。 「ごめんなさいです…」 「ごめん…」 ケガを被ったとはいえ、少女二人に謝られると困ってしまう。そもそも止められなかった俺が悪いんだし。 「ホワイトもブラックも顔上げて……。大した傷じゃなかったしいいんだよ」 これは本心だ。結果が大したことなければそれでいいと思う。 「でも……」 「いいんだってば。それより明るい話をしよう。 そうだな……明日ピクニックにでも行かないか?」 「えっ、ほんとですか!?」 「ほんと…?」 「ああ本当さ。天気も悪くならなそうだしな」 二人が喜んでくれるのなら、自分から誘うことぐらいお安いご用だ。 それにこの二人とならば、自分も楽しく過ごせるだろうという確信もある。同じぐらい苦労もするだろうが。 「明日はお弁当作っていきますからね! あっ、ブラックちゃんも作りますか?」 「うん……」 「それじゃ一緒に作りましょうか!」 とりあえず俺から離れた二人は、弁当のおかずは何にするかなどの話に移った。 ひとまず一難は過ぎ去ったかと呟いた俺に、今まで傍観していた魔理沙が声をかけてきた。 「なに言ってんだ。どうせまた明日一難来るんだぜ」 「言うな、わかってる……」 魔理沙の言っていることは正しい。また喧嘩してしまうかもしれない。 だが基本的には仲良しな二人だ。喧嘩してもすぐに仲直りするだろうし、俺から誘ったことだから喧嘩しない可能性だってある。 それに今は春だ。細かいことを気にせず、暖かなこの季節を楽しむべきだろう。 さあ明日が楽しみだ。二人の少女と過ごす一日はいったいどんな日になるだろうか。 「は~るで~すよ~」 「春…来たよ……」 「ああ、本当にいい春だ…」 今年の春もとても賑やかになりそうだ。 6スレ目 795 縁側で茶を啜っていると橙がやってきた。 頭を差し出したので撫でてやった。 とても幸せそうな顔をしていた。 しばらく撫でていると藍さんがやってきた。 恥ずかし気に頭を差し出してきたので撫でてあげた。 赤面しながらもとても嬉しそうな顔をしていた。 しばらく撫でていると紫様がやってきた。 すげぇ楽しそうに顔を差し出してきた。 3秒くらい固まった。 どうしようか迷った。 悩んでも結論が出ないので、結局
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ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン 原題:The Best American Mystery Stories 2002(2002) 編者:ジェイムス・エルロイ&オットー・ペンズラー編 James Ellroy, Otto Penzler 訳者:木村二郎、古沢嘉通、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.3.15 初版 価格:\1,900 アメリカの短編小説が翻訳される機会は非常に少ないと思う。もしかしたらアメリカ人は短編小説なんて書かないんじゃないか、と錯覚を起こしそうになってしまう。 ぼくがアメリカの短編小説をとても面白いと感じたのは、近年ではローレンス・ブロックの『おかしなことを聞くね』『バランスが肝心』『夜明けの光の中に』の短編集三部作だった。すべての短編がどれもこれも面白く愉快で、怖くてどきどきさせられた。 オットー・ペンズラーはミステリをこう定義づける。 「犯罪か犯罪の脅威がテーマかプロットの核をなす作品」と……。 ローレンス・ブロックの短編集はまさにこの定義で、そして何よりも素晴らしかった。普通の長編小説よりも分厚いのは、短いが素晴らしい作品が山ほど収録されているからだ。 『ベスト・アメリカン・ミステリ』と名づけられたこの毎年一冊ベスト20作の短編を収録したシリーズも、その辺の長編一冊よりはよほど分厚い。ぼくは、このシリーズをDHCが出版していた『アメリカミステリ傑作選2001』(オットー・ペンズラー&エド・マクベイン編)で最初に読んだ。(→当時の感想はこちら) 失業中、時間が有り余っていたときの一冊にぼくは引き込まれたのを覚えている。それにいつも見慣れた作家たちの名前があり、同時に聴いたこともない作家の名前があり、短編しか書かない人の名前までもが並んでいて、本当に絢爛豪華で公平性に満ちていてとても楽しい。 DHCから翌年以降の翻訳権を引き受けたのが、われらがハヤカワ・ポケミスであったこともなんだかとても嬉しい。身近にきたっていう感じで、肌がざわざわしてくる思いだ。 期待したサブタイトルのR・B・パーカー『ハーレム・ノクターン』は何と先に読んでいた長編『ダブルプレー』のあのシーンだった。確かに名シーンだけれども。 そういえばクラムリーの短編集『娼婦たち』のうち『メキシコのリュウキュウガモ』が長編『友よ戦いの果てに』のスターティングに丸ごと使われたことがあった。 そういえば村上春樹の『ノルウェイの森』のスタート部分は、短編集『蛍・納屋を焼く』の『蛍』まるごとで始まるのだった。 こんな例はいくらでもあるのだろう。ときには短編は、そのまま複雑化されて長編に化けたりもする。ときには短編はそれでも長編を上回ることがある。 そういえば浅田次郎は短編はペンで書き、長編はワープロで書くという。短編と長編の「書きかたの違い」、あるいは「書き手の姿勢」をよく言い表していないだろうか。 ハヤカワは矢継ぎ早に次の2003年度版を出版したので、ぼくはすぐにそちらに取り掛かっている。今度はエルロイからコナリーにバトンタッチだ。コナリーは、本書以降この方ずっと短編に嵌っているみたいだ。そのうち出版されるであろうコナリーの短編集が早くも楽しみでならない。 ちなみに、ぼくが本書でとても気に入った短編は、ジェイムズ・グレイディ『幻のチャンピオン』、クラーク・ハワード『コバルト・ブルース』、ジョー・R・ランズデール『ラバ泥棒』、F・X・トゥール『夜の息抜き』、そしてもちろんマイクル・コナリー『二塁打』である。 (2005.04.21)
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ハーレム?3 6スレ目 829 眠い。ひたすらに眠い。 朝が来た事は重々分かっている。理解している。合点承知の輔している。だが、この肌 寒い中、布団という蟲惑的かつ包容力豊かな防御壁から抜け出せと言われて、至極簡単に 外へ旅立てる存在はどこのどなた様だと、小一時間程問い詰めたい。 加えて、ここは周囲より高い位置にある神社。部屋から部屋に旅する風共の冷たさは、 とにかく耐え難い。寒風摩擦なんて考えるとそれだけで吐き気がしてしまう。 自分が悪いのは分かっている。『妹紅と輝夜のインペリシャブルナイト ~特番! 正直 者の十番勝負~』二時間SPを全部聞いたら夜が明けてしまう時間になる。 わかっててもやってしまう事って誰も一つや二つはある。絶対ある。足の親指の爪を切 り取って、何故か嗅いじゃって悶絶したりとか。 ま、まずい……睡眠時間が三時間ぐらいだ。作業中に寝たら、お頭に大目玉を食う。 どうにかしてこのまま眠り続ける方法はないだろうか。 障子の開く音がする。甲斐甲斐しく自分を起こしにきてくれるその心には非常に感謝を しているが、今日ばかりは見逃して欲しい。 「あさー、朝だよー。朝ごはん食べて、お仕事だよー」 軽快な足音が近づく。寝ている俺の隣まで来て……頬をつつかれる。 「おにーちゃん、早く起きないとごはんなくなるよー」 目を開き、視界が濁る。若干波打った萃香の笑顔が全面に映し出されている。 「うぅ……ねむーぃさむーぃ合掌ひねりーぃ」 最後の一言は自分でも良く分からない。睡魔と戦っていると変なものを思いつく。 「むぅ。じゃあ、暖かくなればいいの?」 「おーぅ、なったら起きるぜぇ……」 考えも無しに言ってしまったが、結果的に暖かくなる。萃香が布団の中に入ってきてべ ったりと蛸の吸盤になってくれた。 「あははっ、おにーちゃん冷たい」 「ほぁぁぁぁ~っ、湯たんぽ萃香は極上品じゃぁ~」 このまま寝れたらどれだけ幸せか。この柔らかでいて弾みのある肌の感触。幸せ通り過 ぎて昇天まである。 「ねぇ、萃香、お兄ちゃん起こした? ……って何してんのよ!」 地を踏み荒らす振動と共に、布団が吹っ飛んだ──正直スマンカッタ。 恐る恐る見上げると、青筋立てて顔をヒクつかせている仁王立ち霊夢。 「あー、いや。これはだな。俺って抱き枕ないと安眠が得られなくて」 「言い訳はそれだけ?」 「う……ごめんなさい。すぐ起きます」 無駄に言葉を連ねれば連ねるほど墓穴。人間素直が一番だ。 萃香から離れ、部屋を出ようとする。だが、霊夢に袖を掴まれて止められた。 「まだ、怒ってる?」 「怒ってません」 口で言ってても霊夢の表情は正直だった。人を射殺す目をしている。 「まだ、朝の挨拶してないよ」 「あー……悪い。そうだな」 のっけから普段と違った起き方をしたので忘れていたが、毎日の定例がある。恥ずかし い事この上ないが、霊夢も萃香も喜んでるし俺も気にしてはいけない。 仕事場の同僚に知られたら……確殺されてしまう。 袖を掴む霊夢の腕を取って引き寄せ、できるだけ小さな力で包む。尖りきっていた顔は 瞬時に溶け、惚けた瞳を向けてくる。 「おはよう、霊夢」 「おはようございます」 背伸びをしてきた霊夢に応え、軽く唇を交わす。横文字で言うとフレンチキスだかモー ニングキスとかいう習わしなんだとか。教えてくれた寺子屋の先生はその時だけ顔を真っ 赤にして説明していた。 顔が離れ、霊夢は頬に紅を塗ってはにかんだ。 「私もおにーちゃんと挨拶ぅー」 「はいはい、おはよう。萃香」 「おはよー!」 豪快に飛び込まれて俺を軸に四回転決めた後、萃香に口を押し付けられた。音で表現す るなら『むっちゅぅぅぅ』ぐらい聞こえそう。 「萃香っ、長い! 私より三秒ぐらい長い!」 「え~、いいじゃん。おはようには変わりないよ~?」 「全っ然違うから! なんで萃香ばっかり、お兄ちゃんも何か言って!」 頼むから俺に振らないで下さい。ずるい狐と同じ顛末になりかねない。 後から聞いた話だが、二人とも俺が夜更かししていたのを知っていたらしい。それなら 注意しに部屋にきそうなものだったが、どっちが行くかで揉めてしまい結局疲れて寝てし まったとか……何をしているんだ、この子達は。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/∋゚)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ なんとか、作業中に寝ぼける事はせずに済んだ。霊夢が淹れてくれたコーヒーがかなり 効き目あった。竹筒に入れてまで携帯した甲斐あって、色々と助かった。 今日で作業は一括りついているので、数日は部屋でだらけるか、近場の民家で畑仕事を 手伝うかぐらいだろう。 ここ数ヶ月は作業詰めだったし、せっかくだから可愛い妹達の為に時間を割くのは大い に有りじゃないかと思う。 血は繋がってないが。 「ただいまー」 縁側から入り、部屋の中へ入るが誰もいない。二人とも出かけているのか、卓袱台に料 理が置かれているわけでもなく、茶を飲んだ跡があるだけだ。 腰を落として休もうとしたが、すぐに霊夢が部屋に戻ってきた。近場の農家で貰っただ ろう野菜を抱えている。 「おかえり、霊夢」 「あ、お兄ちゃん。帰ってきてたんだ」 「たぶん、すれ違いっぽいけどな」 苦笑する俺を見て、霊夢は野菜を投げ捨てんばかりに卓袱台へ転がし、胸元に張り付い てきた。誰が見てもわかる、活きた笑顔。 「まーったく、甘えん坊だなぁ」 「いっつも萃香ばかり贔屓してるんだから、たまには独り占めしてもいいじゃない」 「贔屓しちゃいないって。まぁ、萃香の押しが強いってのはあるか?」 「じゃあ、私も押しを強くしたらいいのね?」 言うが早いか、全体重を乗せられて後ろへ倒された。尻餅をついて倒れたので頭を打つ には至らなかったが、俺を下敷きにして霊夢が覆いかぶさる形になった。 「こ、腰がっ」 「オヤジ臭い」 押し倒された挙句に酷い投げかけ。涙の一つでも流して困らせてやりたいぐらいに。 「萃香が帰ってくるまで、こうしてていい?」 「……いいよ。たーだーし、俺に甘えても金も食い物も出てこないからな」 「期待してません」 これは酷い。盥が上から落ちてきて爽快な音を共に頭を強打された気分。 ため息ひとつ、俺の胸元にある霊夢の頭を撫でる。嬉しそうな笑い声が小さく漏れる。 だが、こちらが身じろぎしようものなら、密着しているふたつの突起物と擦れ合って、脳 内革命起こしてしまうので断じて動いては…… そこで思考を止めた。そして切り替える。なんで既に感触があるのか、と。 「霊夢、お前まさかサラシしてないんじゃ──」 「してないよ」 電撃が走った。脳内が緊急事態の警鐘を鳴らしている。 霊夢は俺から少し離れて、四つん這いになると、俺の手を取って……何の躊躇もなく自 分の胸に押し当てた。 「ほら」 電撃が走った。大火災だ。 ほら、とか簡単にやってしまう霊夢に末恐ろしさを感じる反面、煮え滾る何か。 「な、なんで今日に限って……?」 できるだけ平静に。ここで何かをしてしまえば、雪崩が起きる。男の悲しい性たるや、 なんと如何わしいものか。ここを耐えずに、どう男でいられようか! 「触ってもらうと大きくなるって。サラシしてたら意味ないと思うし、前に胸が大きい方 がいいって言ってなかった?」 「あ、いや、まぁ……言ったような、そうでもないような」 思い出せない。確かに、この前の新聞で『美人死神女性特集』やってた時、小野塚って 子の胸がやたらでかいと同僚達で盛り上がっていたが……霊夢に話した覚えはない。 「でしょ? サラシの上からじゃ意味ないと思うし」 「萃香とやればいいんじゃないか」 「話しちゃったら、萃香まで大きくしようとするじゃない」 それはそうだ。いつもこの二人は妙な所で張り合ってるから、こういった考えが出てき ても納得してしまう。 なんといういじらしさ。頭に血が上りすぎて鼻から噴出しかねない。 「それにね、お兄ちゃん」 離れていた身体がまた密着し、自分と霊夢の目線が一致する。鼻の頭がくっつき、互い の息の温度が相手に伝わる。 「お兄ちゃんに……して欲しいの」 言い切って、真っ赤な顔で視線をそらした。 会心の一撃。燎原の火は世界を包み込んだ。自分の中の全てが赤い。 ──ここを耐えずに、どう男でいられようか!── 終了。 ──据え膳食わぬは男の恥── 新装開店。 「霊夢! 部屋……行こうか」 「う、うん」 言葉が急に畏まったが、俺に抱き上げられても、嫌な顔一つしていない。むしろ、これ からに対する期待の笑みがこぼれている。 雪崩が起きても構わない。理由はない。 自分が何を想像し、幻視しているのか全くわからない。霊夢を連れて部屋に戻れば後は 野となれ山となれ。向かう所は一直線。 「今夜はお楽しみでしたね……? って私に言わせたい?」 氷河期がきた。 ξ_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/∀・)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす。を萃香に地でやられて数時間後、意識が戻った。布団に寝 かされていて、一撃の重みがまだ残っているのか、全身が軋む。 霊夢に買い物を頼まれて戻ってみれば霊夢が抜け駆けしていた。俺達の一部始終を見ら れていたらしい。萃香の力なら俺や霊夢の完全監視なんて朝飯前なのだろうけど、してい なかったという事は、それだけ信頼があった証拠だ。 悪かったとは思うが、本気で殴られるとは。まだ頬が痛い。 もう深夜になる頃か。できれば、萃香に謝っておきたい。誤解も含まれるが自分が暴走 したのも原因の一つ。 とはいえ、どう説明したものか。 「はぁ……莫迦か、俺は」 「おにーちゃん。起きてる?」 「萃香?」 部屋に明かりはない。真っ暗で何も見えないが、萃香がこちらに来る音だけわかる。 何も言わず布団に潜り込み、顔の隣に萃香の顔が並んだ。うっすらとでしかわからない 状態だが、特に怒っている様子もなく、普段と変わらない笑顔だ。 朝と同じく、蛸の吸盤になる萃香。「いつものー」とねだる姿に気分が和らぎ、謝罪の 意も込めて両腕で強めに抱いてやると、素直に喜んでくれた。 「さっきはごめんね。痛かった?」 頬を撫でられ、痺れを感じる。だが、声を上げる程ではない。 「大丈夫。こっちこそゴメンな。まぁ、あれはちょっと……」 「ううん、あれは霊夢が抜け駆けしようとしただけだから。もしあの状況で霊夢の誘いを 簡単に断れたら、おにーちゃん病気だよ」 何の病気だ。 「だから、おにーちゃんは何も悪くないよ?」 「そういってくれるのはありがたいけど。ならなんで殴られたんだ?」 素朴な疑問。まぁ、一時的な感情がどうのと言われれば納得せざる終えない。ついカッ となってやった、今は反省している。みたいな心境は良くある話だ。 そういう返答なのかと萃香を見たが、表情はとてもバツが悪そうに見える。 「それは、その……私と霊夢で色々と"オハナシ"したいなぁって。おにーちゃんに聞かれ たくなかったし、ごめんね? いたいのいたいのとんでけぇ~」 頬を撫でられ、布団の中で小さくバンザイをしてみせる萃香。すごくはぐらかされた気 分だが、オハナシの内容は恐くて聞けそうに無い。少々霊夢が心配になった。 気にはなるが、二人の仲はかなり良いし朝方霊夢を見たら灰になってました、なんて展 開は絶対ないから大丈夫。喧嘩したとしても、ちょっとした弾幕ごっこだ。 「でね、でね。私もおにーちゃんにお願いしにきたの」 「胸触れとか、そーゆーのは駄目だ」 「むぅ、やっぱりだめかぁ。でもいいや」 お願いしようとしてたのか。 「他にね、お願い──うぅん、ちょっとおにーちゃんにしてほしいことがあるんだー」 「まぁ、できることならいいけどさ」 何かを一緒にしたいと言いたげな笑顔。一緒に寝るとかなら既に萃香は布団の中だし、 その程度のことなら俺に言うまでもなく勝手に実行してくる。 「で、俺は何をすれば?」 「うん。おもいっきりベェーってして。舌を、べ~って」 「は……舌? んぁ、ふぉうは?」 大きく口を開け、伸ばせるだけ舌を萃香に向けて出す。何をする気だろうか。まさか、 やっぱり霊夢との一件を怒っていて、舌を切られるとかじゃ…… 「おにーちゃん。そのまま、だからね」 「お……っ!?」 両腕を首に回されて引き寄せられた途端、突き出した舌が萃香に食いつかれた。突然の 事に引っ込めようとしたが、歯を立てられていて鈍痛が走る。一寸先で俺を睨む萃香の目 は、『そのままでいろ』と訴えかけている。 諦めて従うと、突き立てられた杭は抜かれ、唇に挟まれては撫でられる。舌は萃香が持 つ同じ肉に這い回られ、内部を駆けずり、時折耳に届く粘着質の音が腕を痙攣させる。本 来味覚を司る部品はさながら、萃香を愉しませるアイスキャンデー。このまま舐め尽くさ れて融けきってしまうのではと不安さえ混じる。 今まで生きてきた知識の中で理解も判断も不可能な、形容しきれない感覚と時間。仕舞 いに、蕎麦を啜る流音と共に、混濁した液体が全て萃香へと移動していく。 強烈な眩暈を呼び起こす"して欲しいこと"が終わったらしい。今でも意識がはっきりせ ずに映像がゆらゆらと揺れている。 「どうだった? おにーちゃん」 「う……ぇ、っは、はは……」 頭痛が酷くて、状況がよくわからない。夜なのに、何故か視界は白い。 「おにーちゃんの味がした。すっごく美味しかったよっ」 脳が金槌で殴られた。周りが白い……限りなく、白い。 萃香の口がまだ動いていたが聞き取れず。世界は真っ白になった。 自分の意識が吹き飛び、無意識の間にもう一人の自分が現れてやらかしちゃった挙句に 『責任……取ってね、おにーちゃん』と慎ましやかにお腹擦られるとか、最終奥義を突き つけられる展開を恐れたが、どうにか回避できていた。真っ白になった後、死んだように 寝ていただけらしい。 なんで萃香が、あんな超絶技術……失礼。変な事をしてきたのか。答えは意外でも予想 外でもなく、腹立たしいが納得してしまうもので、単刀直入に言えば『男に一発で首輪を 掛けて飼う方法』というとんでもない内容の教えを受けたのだ。 萃香や霊夢の知り合いに、人をからかって遊ぶのが大好きだと外見でも性格でも見て取 れる女がいて、情報源はそこ。わかってしまえば、なんと簡単な情報源だろう。 最近は友人の家に入り浸っているようで、外来式の服で着飾って彼女の流行である"最近 の若い娘は"ごっこで遊んでいるらしい。近々友人の家に行って、変な入れ知恵をしないで くれと伝えておこう。声を大にして伝えておこう。あの二人については勝手に大人の階段 のーぼるーしてて下さいと放置するが、こちらはそうもいかない、絶対にだ。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/。(・)|/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 「──さて」 本日すべき作業が終了し、片付けに入る。同僚達から居酒屋に女手品師が来るとかで見 に行かないかと誘いがあったが、丁重に断った。興味はあったが、俺には余所見をしてい る余裕はあまり無い。 同僚達も結局『妹さん達の面倒を見るのも大変だなー』と苦笑交じりに理解してくれて はいるが……面倒の一括りで終わる話じゃないと内心突っ込みたい気分で一杯だ。 人里から離れ、神社へ続く道を歩く。人の手が施されていないので、普遍的な道とは呼 べないが。 「お兄ちゃーん!!」 お迎えが来たようで、遠く先で霊夢が大きく手を振っている。萃香も一緒だ。二人のも とへ到着し、間に挟まれ一列に並び、歩幅をそろえる。 「昼間でお仕事終了なんて、みんなのんびりだねー」 軽快に笑う萃香に「そんなもんだよ、俺の仕事場は」と相槌を打つ。俺が神社にいない 間の行動は萃香が見ているので、帰り時や職場の話なんかはほぼ全て筒抜けている。安易 に霊夢に担ぐような言葉を口にしようなら、帰った途端に那由多の星になる。 「居酒屋に来る手品師が見たくて、同僚もお頭も鼻息荒くして行っちまったよ」 「それって咲夜のことでしょ? 新しい金稼ぎでもしてるのかな」 霊夢が顎に指を添えて考えに耽る。あの館を見る限り、住人達はさぞ裕福に暮らしてる のだろうと思っているが、中身は案外質素だったりするのかもしれない。 「まぁ、金はともかく。ほら、咲夜さんて若くて綺麗だしさ。お頭もいい年して鼻の下伸 ばしてるからなぁ~。手品見たいってよりは、下心の集合体じゃないか?」 笑い飛ばして──困惑した。霊夢の足が止まり、こちらを睨んでいる。なんでそんなに 怖い顔をしているのか、俺は萃香と顔を見合わせたが、二人揃って首をかしげた。同僚や お頭を笑ったらいけません、みたいな老人じみた説教だろうか。 「お兄ちゃんて、咲夜みたいな女の人が好きなわけ?」 「は……? 綺麗だとは思うけど。だからって好きとは言ってない」 確かに綺麗だし、性格もよさそうだし、しっかりした人に見える。が、好意については 全くの別物。 霊夢と萃香の二人は、自分にとって特別だからな。 「ほんとう、に?」 まだ疑われているらしい。 「本当だって」 真実を口にしたが、まだしかめっ面だ。 「うわぁー、霊夢妬いてるんだー」 萃香に図星を突かれたようで、肩を震わせながら「違う! 妬いてなんかない!」と怒 鳴って俺達を通り越して先を歩き出した。 どうしたものか、と肩を竦めると萃香がケラケラと笑う。 「複雑なお年頃ってやつか?」 「おにーちゃんて甲斐性なしだもん」 冗談ぽく言われたが、非常に痛いお言葉。冗談じゃないなら立ち直れない。 「俺ってそんな風に見られてたのか……ぁー、涙が出てきそう」 目から滝が流せるなら、今まさに流したい。しかし、このまま干渉に浸って霊夢を放置 するのも問題だ。頑固な娘だから、時間が経つと状況が悪化しかねない。 「行ってあげれば? おにーちゃん」 「そうだな。仕方ないなぁ、まったく」 早足で追いかけ、霊夢に追いつく。振り向かず、膨れっ面のままだ。「待てって」と呼 びかけても反応のはの字も返ってこない、これは重症だ。 こうなれば強引だが…… 「霊夢!」 大声と、霊夢の身体を抱え上げる行動を瞬時にやってのける。お姫様なんちゃらって形 に収まった霊夢が呆然と俺を見つめている。 「変な話して悪かった」 それが引き金になったのか、また視線が鋭くなり「降ろしてよ」と声色低く、投げやり に言ってそっぽを向かれた。 「断る」 こちらも投げやりに返し、神社に足を進める。その後何度か「降ろせ」と「断る」のい たちごっこが続き、駄々をこねる子供のように胸元やら肩やら頭を乱打された。どれ痒い 程度で、やがて疲れたのか大人しくなった。 やれやれ。と軽く嘆息し、霊夢を見る。敵意ある様子は崩れ去り、後悔とも困惑とも取 れる塞ぎ込んだ顔。 「なによ、お兄ちゃんの莫迦」 「己の信じる先を行く一本気莫迦ではあるな。あーあ、嫌われてしまったかね、俺」 わざとらしく苦笑してみせると、霊夢は頭を大きく横に振った。 霊夢と萃香の為なら、莫迦にもなれる。男ならそういう道を選んでもいいはずだ。自負 であって、それが正論かと問われれば否定するけど。 「……ごめんなさい。ちょっと──ほんとにほんのちょっぴり、綺麗って聞いて悔しかっ たかな」 ほんのちょっとじゃないだろと言おうとして、薮蛇なので言葉を引き戻す。また怒らせ て陰陽玉で殴られたのでは洒落にならない。 霊夢は口を尖らせて、俺の胸板でのの字を書いている。なんとなく、自分のやってしま った失敗を理解するが、くすぐったくて思考がブレる。 「三年……いや、二年か?」 「にねん?」 意図の掴めない俺の一言にきょとんとする霊夢。 「今だって霊夢は十二分に可愛くて綺麗だ。二年経ってみろ、咲夜さんなんて眼中になく なるほどすっげぇ女になる! 俺が保証してやる」 咲夜さん以上になるかはこの際誇大発言だが、綺麗になるのは間違いない。こういう時 は大げさに言ってみるのも一興だろう。 「……じゃあ、お兄ちゃんは二年後の私に大好きって言われたら、どうする?」 「そりゃーもう、即刻連れ去って悪い蟲がつく前に結納済ませちま……ぁ?」 大げさに言ってみるのも一興。ただ、勢い余って脱線した気がする。しかし、時既に遅 し、霊夢の紅潮しながらも輝く瞳に気圧される。 「お兄ちゃん、男だから二言はないよね? 確約だからね?」 「え、ちょっ」 反論は許されない。途中で霊夢の唇に塞がれた。あまりにも積極的な姿に自失しかねた が、背後からくる尋常ではない凍える風が全身を強張らせた。 脊髄反射で首が勝手に動き、霊夢の唇を剥がすが「ダメ、もっとするの」と官能的な色 を出されて拒否する力が奪い取られ、延長戦。 唇から来る霊夢の暖かさと背中を冷やす無言の萃香に板ばさみにされ、死活問題だと血 が騒いでは混乱する。最凶の甲斐性無しと自負できそう。 「れ~い~む~? 今日という今日は、しっかり"オハナシ"しないとだねぇ?」 耳に入らず脳に伝わる轟音が萃香を包んでいる。霊夢が未だに離れてくれないので表情 は伺えないが、きっと目がイってる。絶対、琴線に触れてる。 名残惜しさもひとしおに俺との延長戦を終え、存分に堪能したと舌なめずり。 「えぇ、そうね。私もちょうど萃香と"オハナシ"したかったのよ」 ゆっくりと俺から降り、大きく胸を張って萃香を見下す霊夢。 なんという挑発的な目だろう。従属属性持ちがこれに射抜かれたら瞬殺される。 冷静に状況を判断しているように見える俺でさえも、殺気に全面包囲されて今にも発狂 しそうな程、手足が冷たい。血の気がみるみる引いていくのを実感している。 どうするの? どうすればいいの!? どうするのよ俺!! 『霊夢と萃香次第』 こんだけしかねーのかよ!! 「おにーちゃんを誑かして、そんな確約だなんて通じると思ってるのかなぁ?」 「当たり前じゃない。私なら二年後と言わず、今でもね。ねー、お兄ちゃん」 俺に振らないで下さい。 ──その後、数日間による修羅場、弾幕戦、よくわからない対決が続いたが……まぁ、 これは別の話だ。聞くも血の涙、語るも血の涙。察してくれ。 現状? 三人一緒の布団で寝れる仲だぜ。言ったろ? 俺は一本気の莫迦なんだ── 終? うpろだ292 幻想郷に来て俺は今まで様々な命の危機に出くわしている 妖怪に食われそうになったり、酒を大量に飲まされて急性アルコール中毒になりかけたりその他色々と ……よく生きてたな俺 まあ今では紅魔館で執事として働いている 毎日大変ではあるが充実してて楽しい……はずだったんだよな ドゴーーーン!!! 「○○!なにをぼうっとしてるの!?死ぬわよ!」 「目の前の惨劇に少々現実逃避を」 チュドーン!! 「お姉さまの馬鹿ー!!」 「な!?馬鹿って言った方が馬鹿よ!!」 「バーカ、バーカ!お姉さまのバーカ!」 「また言ったわね!しかも三回も!」 俺の眼の前の惨劇を引き起こしてるのはこの館の主レミリア=スカーレット(通称お嬢様)と その妹であるフランドール=スカーレット(通称妹様)が戦っているからである 「元を正せば貴方が原因よ何とかしなさい!」 「そりゃ俺に死ねってことですか?咲夜さん!?」 「原因が亡くなれば止めるかもしれないじゃない」 「字が!字が違う!ある意味では合ってるけど」 そもそもこの惨劇が起こったのは今日の茶会で珍しく妹様が出席し、姉妹同士の他愛無い話が原因だった ―回想開始― 「ねえねえお姉さま、お願いがあるんだけどいい?」 「お願い?いいけど外に出るのは駄目よ」 「外には出たいけどそれとは違うの そのお願い聞いてくれたらずっと館の中で暮らすよ」 「へぇ……どんな願いか言って見なさい」 「○○がほs「却下ーーー!!」なんでー?」 「○○はここ紅魔館の執事よ、つまり紅魔館の主である私のものだからよ」 「ぶー、お姉さまの横暴ー!」 「横暴だろうと何だろうと○○は私のものよ!」 「いいもん私の眷属にするから、そしたら私のものになるもん」 「私がさせると思う?」 「邪魔するならお姉さまでも殺すよ」 「はっフランが、私を?面白い、やれるものならやってみなさい」 「言われないでも!!」 ドゴーーン!! ―回想終了― ……やっぱ俺が元凶か? この状況を何とかできるパチュリー様は二人の戦いが始まるやいなや 図書館に引っ込んでご丁寧に入って来れないように結界まで貼っている 畜生、覚えてろ紫もやし、ことが終わった後煮立ったお湯に入れた後塩コショウふって炒めてやる それまで俺が生きていればの話だけど 「で、どうする気?あのままじゃ本当にどっちかが死んでしまうかもしれないわよ」 「それは……勘弁願いたいですね」 「そう思うなら何とかして止めなさい、この場を止められるのは私でもパチュリーさまでも白黒でも紅白でもない 貴方だけなのよ」 「分かりました、死ぬ気で止めてきます」 「死んだらお嬢様たちが悲しむから死ぬのはやめときなさい」 「了解!!お嬢様!!妹様!やめてください!!」 そういうと俺は今尚続いている姉妹喧嘩に突っ込んでいった 「禁忌『レーヴァテイン』!!」 「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」 カッ!! 「「「あ」」」 ピチューン!! 「……いったたたたた」 「○○おきたの!?!よかったわ、何があったか覚えてる?」 「確か俺はレーヴァテインとグングニルに挟まれて……」 そうだ、俺は確かにレーヴァテインとグングニルが当たったはずだ 単純な破壊力なら幻想郷屈指のスペルを二つ同時に 「何で生きてるんですか?俺 痛みはありますけど五体は無事ですし、傷跡もないですよ」 「それに関してはその……」 咲夜さんにしては妙に歯切れが悪い、いったいなにをしたんだ俺の体に 「それについては私から説明するわ」 「あ、真っ先に逃げて引きこもったパチュリー様(紫もやし)じゃないですか」 「……なにか言葉に棘があるわね」 「気にしないで下さい、ささ、続きを」 「なにか釈然としないわね、まあいいわ、二人のスペルで貴方の体は右半身と下半身は吹っ飛んだの」 ……よく生きてたな俺、すごいね人体って 「まあそれでもかろうじて息が合ったみたいだからレミィと妹様の血で貴方を吸血鬼にしたのよ」 「はあ……吸血鬼にしたのはまあ納得いきますけどなんでお嬢様と妹様の血の両方を入れたんですか?」 「どっちが貴方を自分の眷族にするかで揉めてね、このまま放っておくと死にそうだったから 妥協案として二人の血を混ぜて貴方に飲ませたの」 「飲ませたってどうやって」 パチュリー様の話が本当なら俺は血を飲む力もなかったはずだ 「ああ、それは咲夜が口移しで飲ませたのよ」 「パ、パパパパパチュリー様!?」 真っ赤になりながらどもる咲夜さん、マジ可愛い 「え、まじっすか?」 「まじよ、これもまた二人が揉めてね、埒が明かないから三番目の選択肢として咲夜に頼んだの」 「はぁ……スイマセンね咲夜さん、乙女のキスを俺なんかに」 「べ、別に構わないわよ、気にしないでむしろ……ウレシカッタカラ////」 「後半あまり聞こえなかったんですけど何か言いました?」 「べ、別に何も言ってないわよ」 「そうですか、そういえばお嬢様に妹様は?」 そういえば先ほどから二人の姿が見えない 俺が目覚めたのならすぐにでも飛んできそうだけど……自意識過剰かな? 「ああそのことなら咲夜が貴方にキスすることになってうるさかったからロイヤルフレアで黙らせた後 地下の妹様の部屋に放りこんだわ」 ひでぇ、仮にも親友とその妹にする仕打ちじゃねーぞ 咲夜さんもその時のことを思い出して苦笑いになってるし 「まあそんなわけだから早いとこ二人の所に行きなさい 二人が目を覚まして側に貴方がいないといろいろとうるさいことになりそうだし」 「そうですね、それじゃ行って来ます」 そう言い俺は地下の部屋に歩いていった これから大変なことが起こるだろう けどきっと大丈夫だ頼りになる人がここにはたくさんいる 一人では駄目でも皆ならきっと何とかなる それに……俺は吸血鬼になったんだそうそう死ぬことはないだろう 後日あのまま死んでた方がよかった目に合ったがそれはまた別の話である
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「もって一ヶ月でしょう」 医者がそう告げた時、私たちの心には空虚が支配していた 「余命一ヶ月のハーレム」 〜数時間前〜 「思い出は胸に刻む物なのよ」 会長がいつものように小さな胸を張りながらどこかの本の受け売りを偉そうに語っていた 「というわけで、今日は皆にこの一年間の思い出を語ってもらおうと思います」 「やれやれ、まためんどうくさそうな」 「真冬、そろそろ〆切が忙しいのですが」 「キー君が止めるわよ」 「会長!」 「何?杉崎」 「それは俺との愛について語り合うということで間違いないですよね」 「あるよ!ていうか、間違いだらけだよ」 「私が言ってるのはこの一年間の生徒会活動について皆で語り合おうっていうこと」 「語り合おうって、別に語り合う程の事何もしてないじゃん」 「そうですね。基本的に駄弁ってばっかりですもんね」 「別に語り合う事もないわね」 グサッ グサッ グサッ 深夏、真冬ちゃん、知弦さんの三連攻撃に会長は涙目になった 「杉崎!」 「キー君!」 「鍵!」 「杉崎先輩!」 あまりの唐突な出来事に私達は声を上げた 突然キー君7が吐血して倒れたのだ 「おい!しっかりしろ!鍵」 深夏が慌ててキー君を揺さぶる。そこで私はハッと気づき 「駄目よ、深夏そんなに揺らしちゃ、とにかく今は救急車を呼ばなきゃ」 「あ、あぁ」 そう言って深夏はキー君から少し離れた。私はそれを見て携帯を取り出し近くの病院に電話した 〜翌日〜 私が連絡してから30して救急車が到着、キー君は病院へと搬送された。 私達も同行しようとしたが真儀瑠先生に「今日のところは、お前達はもう帰れ」と言われ、半ば強制的に帰宅させられた そして翌日私達はキー君の検査結果を聞くため病院に向かった 〜病院内〜 「先生!鍵は!鍵は!無事なのかよ?」 深夏が医者の体を揺らす。医者はバツ悪そうな顔をして黙っていた 「お姉ちゃん!落ち着いて」 「ハッ!わ、悪りぃ」真冬ちゃんの静止で深夏は我に戻り、医者から離れた 「それで先生、キーく^いや、杉崎鍵君の容態はどうなんですか?」 私が皆を代表して医者に問うた。 「・・・・・実は」 しばらくの沈黙の後、医者はようやくその重い口を開いた。しかしそれは私達の予想を超えたものだった 「杉崎さんの脳に腫瘍が見つかったんです」 「「腫瘍!!!」」 私達は驚きを隠せなかった。医者は続ける 「しかもかなり症状が進行していて、その、我々も、最善を尽くしたのですが・・・・・・」 医者が歯切れ悪く言い淀む 「もうそれ程長くないという事ですか?」(ここから冒頭に戻ります) 「はい。もって一ヶ月でしょう」 医者がそう告げた時、私達の心は空虚が支配していた 〜杉崎の病室内〜 あれから私達はキー君の病室を訪れた。キー君はまだ眠っている。アカちゃんは泣き続け、深夏は壁を殴り続けた 「う、うぅ」 キー君が目を覚ました 「杉崎!」 「キー君!」 「鍵!」 「杉崎先輩!」 私達はキー君に駆け寄った 「杉崎!大丈夫?」 「あ、あれ!会長!それに皆、どうしたんですか?」 「キー君、あなた覚えてないの?急に血を吐いて倒れたんじゃない」 「え!そうだったんでえすか?すみません。心配かけて」 「いいのよ。それは、それより」 「ん?」 私は言い淀まった。キー君が怪訝そうな顔をしてる。 「えっと、その」 「杉崎、あのね」 「「!」」 私達は驚きを隠せなかった。今まで泣いていたアカちゃんが恐ろしく冷静な声で言った 「ちょっ!会長さん」深夏が慌てて静止をかける 「このまま黙ってても、どうせ誰かが言うよ」 「「!」」アカちゃんがまたも冷静な声で言う アカちゃんはいつもは子供っぽいけど、こういう時は誰よりも冷静になる。それがアカちゃんの凄いところでもある 「皆?」キー君がまたも怪訝そうな顔をしている 「杉崎」 「はい?」 「実はね、お医者さんが告げたんだけど」 「はい」キー君も深刻な顔になる。そして深呼吸をし、告げた 「杉崎は、あと一ヶ月の命なの」 「鍵・・・・」 「すまない。皆、しばらく一人にしてくれ」 俺はそう呟いた 「・・・・分かった。じゃあ、私達はもう帰るから またね、杉崎」 そう言って会長は退室していった。それに続いて他の皆も出て行った 「・・・・・ふぅ」 皆が出て行った後、しばらくしてため息を吐いた。そして考える (なぜ俺は会長から余命一ヶ月を宣告されたときあんなに満足していたんだ?) ふと、俺は近くにあったカレンダーを見た。今日は2月10日・・・今年の生徒会も残り僅か、そう俺のハーレムも後僅か・・・ 「ハッ!」 その時、俺はあの妙な満足感の正体を理解した ・・・その頃、くりむ達は各々自宅に・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・帰宅していた・・・・・・・・ 〜くりむ〜 「ヒック、ヒック、お母さ〜ん」 「よしよし、くりむちゃんもう泣かないの」 くりむは母親に慰めてもらっていた 〜深夏&真冬〜 「ヒック、ヒック、お姉ちゃん」 「真冬・・・・・」 深夏が真冬ちゃんを慰めていた 〜知弦〜 「グスッ」 知弦は自分の部屋で一人寂しく涙を流していた 〜翌日〜 ガラッ くりむ達は一向に浮かんだ気持ちのまま生徒会室の扉を開いた 「よっ!遅かったな、俺のハーレム達よ」 「「!?」」 そこにはなぜか入院しているはずの鍵がいた 「す、杉崎!あんたなんでここに?」 「なんでって、ここは俺のハーレムなんだから、俺がいるのは当たり前じゃないですか」 「そういう事じゃねぇよ!お前・・・病院はどうしたんだよ!?」 「あぁ!その事か、その事ならご心配なく。ちゃんと許可は取ってありますから」 「それに後一ヶ月の命だからこそ、最後くらい皆と一緒にいたいんです」 「キー君」 「「・・・・・」」 しばしの沈黙。そして会長が口を開く 「そ、じゃあ、今日も生徒会を始めましょう」 「はい」 こうして今日もいつも通りの生徒会が始まるのだった 「杉崎先輩」 真冬ちゃんが俺の目の前で、真っ赤になってモジモジしている 「(やべぇ、萌える///)ど、どうしたの?真冬ちゃん」 俺はKO寸前ながらも、真冬ちゃんに聞いた 「先輩・・・・・//// これ」 そう言って真冬ちゃんが差し出し物、それは可愛らしいピンクのリボンに赤い包装紙に包まれた箱だった 「真冬ちゃん、これ・・・」 「はい、バレンタインのチョコです」 やっぱり 「ありがとう。真冬ちゃん」 「いえ。好きな人にチョコを送るのは当然ですから」 と、ニコッと笑う真冬ちゃん そうして彼女はいつも通り、自分の席に戻った 今日は2月14日、バレンタインデーである それは女子が好きな男子にチョコを上げる日 なのに・・・・・ 「深夏、その袋は一体?」 俺は深夏の席に目をやる。席の横わらには大量のチョコが入った袋があった 「あぁ、これか?毎年送られてくるんだよ。あたしそんなに甘い物好きじゃないのにな」 「深夏・・・・お前やっぱり百合だったのか?」 「ちげーよ!!っていうか、今の言葉から何でそんな返しが来るんだよ」 「じゃあ、その大量のチョコは何だよ?俺だってそんなに貰った事ないぞ」 「あら!それって、今までキー君がチョコ貰ったことあるみたいな言い方ね」 「てっきり、林檎ちゃんや松原さんにしか貰ってないと思ってたのに」 「ヒドッ!っていうか、これでも俺昔は結構モテテたんですよ」 「「えー!!!!」」 そこまで驚くことか? 「あ!でもそれって、今はモテテないというのを認めていると言う事ですか?」 真冬ちゃんが痛いところを指摘してきた。確かに碧陽に入ってからはチョコなんて一度も貰った事ない。 だ、だが 「俺にはこの生徒会がある。このハーレムさえいれば、他の女子のチョコなど」 「だから、ハーレムじゃなくて生徒会!!」 コンッ コンッ 俺達がいつものように生徒会室で駄弁っていると、唐突にノックされた 「はい?」 会長が答えると、扉が開き現れたのは ガラッ 「こんにちはー」 「え、エリスちゃん!」 そう、藤堂リリシアの妹藤堂エリスちゃんだ 「エリスちゃん、どうしてここに?」 「今日はね、にーさまに会いに来たの」 そう言って、エリスちゃんは俺に抱きついてきた ゾクッ!!! その時、俺は背筋にゾクリとしたものを感じた 俺は咄嗟に辺りを見回した 会長はジーと俺の方を睨みつけ、真冬ちゃんはBLを書き込み、深夏はジャンプを引き千切り、知弦さんは不気味な作り笑顔を浮かべていた 「そうか、そうか、皆、嫉妬してくれているのか?いやー、嬉しいな」 「「違う!!!!」」 凄い剣幕で否定された。 しかし 「嫉妬って、見苦しいね。にーさま」 「「な////!!!!」」 エリスちゃんの発言に今度は皆、顔を真っ赤にする 「な!何言ってるのかな?エリスちゃんは。わ、私が嫉妬なんてするわけ」 「じゃあ何で、お顔真っ赤なの?」 「そ、それは///」 会長が口ごもる。皆も押し黙っている。流石に子供相手に怒鳴れないのだろう 「会長さん達が素直にならないなら、エリスがにーさまをお嫁に貰うもん」 「いや、エリスちゃん、それを言うならお婿」 ガラッ 「エリス!こんな所にいましたの?」 リリシアさんがやってきた。どうやらエリスちゃんを探してたようだ 「あっ!姉さま」 「全く、帰りますわよ。エリス」 エリスちゃんはリリシアさんに引っ張られ、生徒会室を後にした 「あっ!バイバイにーさま それと・・・・」 「怖いおばさん達もね」 と、言い残して ピキッ 再び世界にひびが入った その日、俺は言い知れぬ恐怖を感じながら生徒会を過ごすのだった 「いつか別れはやってくるものなのよ」 会長がいつものように小さな胸を張っていつものように何かの本の受け売りを言っていた いつもなら皆、軽く受け流すのだが 「・・・・・・・」 沈黙 ただ、ただ、重い空気が漂っていた 「ど、どうしたんですか?皆、元気ありませんね。俺のハーレムはもっと活き活きしてないと」 と、俺がボケても 「・・・・・」 返しなし 「もうすぐ卒業式ですね」 長い沈黙の中一人、真冬ちゃんが口を開いた 「そうだな」 「寂しくなりますね」 「大丈夫だって真冬ちゃん、寂しくなったら俺はいつでもどこでもかけつけるからさ」 そう言って俺はニコッと笑った バンッ 「「!!!!」」 突然机を叩く音、皆一瞬ビクッとなり、会長の方を向く 「会長?」 俺が尋ねてみる。すると会長は今にも泣きそうな顔をして言った 「確かに卒業しても知弦や椎名姉妹とはいつか会えるけど・・・・」 そこで会長は一旦言葉を区切り、そして紡いだ 「杉崎とはもう会えなくなるじゃない!」 会長の言葉に場の空気はまた暗くなる 「会長・・・」 そう、俺杉崎鍵は卒業式の日にその人生に幕を閉じる 「ぅ、えっぐ、ぐすっ」 「よしよし、泣かないのアカちゃん」 泣く会長を知弦さんが慰める。しかし、彼女の表情もなんか冴えない 椎名姉妹の方を向くと、彼女らも悲しい顔をしていた 「皆、心配しなくても俺は死んでも天国で皆の事見守ってますから」 「いや、お前は確実に地獄だろ」 深夏が失礼なことを呟いた 「キー君は死ぬのが怖くないの?」 「・・・・・確かに死ぬのは怖いです。でも」 知弦さんの質問に俺は穏やかに答える 「皆が悲しい顔をするのはもっといやですから」 「キー君・・・」 「だから眠る時は皆の笑顔を見ながら眠りたいです」 「杉崎・・・」 会長が涙を拭い俺に向き直る 「・・・・・そうね。杉崎の言うとおり私達の別れに涙は似合わないわね」 と言って、会長は満面の笑みを俺に向けてくれた それに俺も笑顔で返す 「じゃ、今日の会議はこれでおしまい。皆、雑業にかかるよ〜」 会長がいつもの調子で言った 「「は〜い」」 と、俺達も会長に合わせ目一杯元気よく返事した 〜碧陽学園卒業式〜 「それではこれより第54回碧陽学園卒業式を行います」 進行役の教師の言葉で辺りが静まり返る そして、卒業式が始まった 今日の卒業式には飛鳥や林檎、香澄さん、宮代奏さん(既に卒業式を済ませているらしい)まで参加していた そんな中、淡々と授与式が行われ最後に会長と知弦さんが卒業表彰を受け取り授与式が終わった 「続いて生徒会副会長杉崎鍵の追悼式を始めます。杉崎鍵君、表彰台に来てください」 「!」 その言葉に俺は驚いた。しかし淡々と階段を上がり台に立った 「「・・・・・・・」」 しばしの沈黙の後、俺はゆっくり口を開いた 「えー、ただいまご紹介に預かりました。生徒会副会長杉崎鍵です」 「皆さんも既に知っている事だと思いますが、俺・・・・杉崎鍵今日、天命を全うします」 俺がそう言うと会場全体を悲観な空気が包む。しかし俺はあえて明るく告げる 「でも俺は後悔してません。そりゃ、最初余命一ヶ月と宣告された時は、正直ショックでした。 でも、それと同時に俺の心には満足感が満ちていました」 「その時、俺はとことんこの学園に意中してるなと、ここに骨を埋めようと、無意識に思っていたのかもしれません」 俺はそこで一旦言葉を切り、深呼吸をして再び口を開く 「これもほとんどの人が知ってる事だと思いますが、4年前俺はある二人の女性を傷つけてしまい、俺自身も結構荒れてました」 その言葉に、飛鳥と林檎が若干俯く 「でも、そんな絶望の底にいた俺を救ってくれたのが、会長、いえ、桜野くりむでした。感謝してます」 「俺は桜野さんのおかげで前を向くことができ、深夏に渇を入れられたから俺は俺らしくいられ、折れそうな心を知弦さんに受け止めてもらい、そして真冬ちゃんに助けられ俺は本当の強さを知った。 その他にも数多くの人々に支えられ俺はここまで来ることができました」 そこで再び言葉を切り、大きく息を吸い込んで 「好きです、超好きです、皆ありがとう、俺も愛してる」 と、叫んだ途端、体育館中から歓声が沸き上がった こうして俺の長いようで短い学園生活は幕を閉じたのであった ー杉崎鍵・享年17歳ー
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書籍情報 あらすじ 既刊一覧 関連リンク 書籍情報 タイトル 異世界で魅了チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた 著者 大石ねがい イラスト もねてぃ 出版社 パラダイム レーベル キングノベルズ Nコード N1413CW(ノクターンノベルズ) 連載開始 2015年 09月04日 備考 Web版タイトル「異世界で魅力チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた」 あらすじ 異世界に召喚されたリュウは、いきなりフォルツァンド女騎士団に取り囲まれてしまった。 どうやら女尊男卑な世界らしく、見下されるまま殺されそうになったことで、リュウはある決断をする。夢で語りかけてきた謎の存在と契約し、チート能力を手に入れたのだ。 その力で女騎士たちを籠絡し、異世界美女ハーレムへの道を、歩き始めたリュウ。 彼を召喚したという神子アイシャから、世界を救うために六人の女支配者たちを倒すことを依頼され、すべての美女を手に入れるべく行動を開始した。 男たちを虐げ、世界を滅亡へと向かわせているのは、#FF6633女帝、魔女、巫女、聖女、天女。そして、この世界の、#FF9900女神だった。 手始めにと、淫らな行為が大好きだという魔女を探して、地下宮殿へと向かうのだが……。 既刊一覧 タイトル 発売日 分類 ISBN 値段 詳細ページ ストア ランキングデータ 異世界で魅了チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた 2015年 12月01日 一般書 978-4-8015-2102-5 1,200円 キングノベルス Amazon B☆W 書籍データ 異世界で魅了チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた 2 2016年 04月28日 一般書 978-4-8015-2105-6 1,200円 キングノベルス Amazon B☆W 書籍データ 関連リンク 公式サイト 異世界で魅了チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた
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•片蔦ハーレム